社会 暮らしの科学 第42回 レジ袋の有料化で海のごみは減るのか? 2020年7月1日からレジ袋(プラスチック製買い物袋)が有料になった。その背景には、地球規模で解決しなければならない課題となっている海洋マイクロプラスチックごみ問題がある。レジ袋と海のごみには、いったいどのような関係があるのだろうか? 今回は“プラスチック”をキーワードに、この関係をひもとくことにした。
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話18 「潰瘍性大腸炎」の治療にも!? バラエティに富む大腸菌 我々にとって最もなじみの深い細菌といえる大腸菌(Escherichia coli )は、ドイツの小児科医Theodor Escherich(1857~1911年)により1885年に母乳栄養児の腸内由来の細菌として発見された。我々の腸内に常在する「腸内細菌科(Family Enterobacteriaceae)」のEscherichia属に属する通性嫌気性のグラム陰性桿菌である。
食 気になる人の「気にする食卓」第64回 岸本葉子 エッセイストとして活躍する岸本葉子さんは、2001年に虫垂がんと診断されて手術、治療をしていく中で食生活を見直し、腸内細菌を考えた食生活を心がけている。また、父の在宅介護を通じて筋肉の大切さを痛感し、自分が楽しく体を動かすことができるダンスフィットネスと出合い、心の体力も養っている。
医学 「細胞と遺伝子」第5回 新型コロナウイルスと治療法 2020年8月31日、鹿児島大学の金蔵拓郎教授が新型コロナウイルス感染症の治療法の一つとして、血液中の炎症細胞を除去する医療機器を使って、重症化を予防できるという研究論文について発表した。そのきっかけは6月に発表されたスペインの論文。潰瘍性大腸炎の患者が新型コロナウイルス感染症に罹患したとき、この治療によって双方が改善されたという。これから期待される新たな治療法とは。
医学 特集 気になる耳の病気 耳鳴りを軽減するには「心配しすぎ」ないこと 耳鳴りで圧倒的に多いのが加齢によるもので、難聴と表裏一体の関係にある。聞こえが改善されれば自然に治ることが多いが、心配のしすぎは要注意。「苦痛を感じる脳」が働いて自律神経に乱れが生じ、結果、「苦痛のネットワーク」が形成されて悪循環に陥るからだ。症状に一喜一憂せず、完全に治さなければという考え方を改め、いろいろな音を聞いてリラックスするのがいいという。
医学 特集 気になる耳の病気 小脳を鍛える「体操」でめまいやふらつきを改善 誰もが一度は経験したことのあるめまいやふらつき。脳や心臓に関係する大変な病気のサインではないかと心配になるが、実はその80%は、加齢や神経の炎症が原因で起きる内耳の障害によるものだ。症状の改善には睡眠不足やストレスを避けることが何より大切で、また、内耳は気象の影響を受けやすいため天気の変化には要注意。バランスを司る器官でもある小脳を鍛える「体操」が効果的という。
生物 特集 触覚の世界 触覚は視覚や聴覚に影響し「情動」を刺激する 触覚は他の感覚と異なり、自分の中に生まれたパーソナルな感覚として気持ちに作用するという。例えば美しい紅葉を見ても、きれいと感じる作用が自分の中で起きていると考えることもない。一方、ペットをなでると気分が落ち着き、見るだけでも癒やされるようになる。これは、触覚と視覚が刺激し合い、脳で感じるようになるからだ。このように、触覚には情動を刺激する要素があるのだという。
生物 特集 触覚の世界 赤ちゃんと高齢者 —— 触れ合うことの重要な意味 泣いてぐずっている赤ちゃんをお母さんが抱っこするとやがて泣きやむ。それは触れ合いによって副交感神経が活性化してリラックスするためで、さらにハグなどがコミュニケーションツールとして機能し始めている可能性があるという。肌と肌の触れ合いなど、触覚を刺激することは年齢に関係なく大切で、特に高齢者にとっては体を動かすことはもちろんのこと、皮膚を刺激することも健康維持に効果がある。
生物 特集 触覚の世界 触覚の再現で浮かび上がる 触感がつくる心的イメージ ソーシャルディスタンス、グータッチなど、新型コロナウイルスによって接触が制限された社会で、触覚はこれから私たちの生活にどのような意味を持ってくるのだろうか。触覚の再現技術の研究も進んでいる中、触覚が脳内で処理され実感として生み出されるメカニズムを解明していくと、実体験と触感は“心”を介して切り離せないものだということが分かってくる。
生物 特集 触覚の世界 〈巻頭インタビュー〉わずかな「違い」をも感知する 触覚の不思議な奥深さ 触覚は、自己防衛のために欠かせない知覚として進化の早い段階で生物が獲得した、五感の中でも原始的な感覚だ。わずかな「違い」をも感知できるなど、生物学的視点から見ると、とてもユニークな特徴を持つ。身体的には、触れたり触れられたりすることによって、気持ちが癒やされ、リラックスできたり、また、性差や文化的背景などにも影響されるなど、なかなか奥深い感覚なのである。