生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話41 「まずは安全であること」 プロバイオティクス(適正量を摂取することにより、我々の健康に有益な作用を発揮する生きた微生物)の要件として、生きた菌として提供されるからには、まずは安全であること、が最も重要であると考える。
食 気になる人の「気にする食卓」第87回 堀内孝雄 アリスのメンバーとして、「冬の稲妻」「ジョニーの子守唄」「チャンピオン」などヒット曲を連発し、一時代を築いて忙しい日々を過ごした歌手の堀内孝雄さん。しかし、急激な生活の変化に体がついていくことができず、食事や睡眠の大切さを思い知らされたという。その経験を踏まえて、楽しみながら健康維持に取り組んでいる。
生物 「細胞と遺伝子」 第28回 老化・寿命と睡眠を結ぶ鍵となる神経細胞 睡眠時間の減少、幾度も目が覚めるなど、睡眠の質の低下は加齢に伴い顕著になる。最近の研究で、脳内のある神経細胞が、老化の過程における睡眠の質の低下に関係していることが明らかになった。マウスの実験では、神経細胞にあるPrdm13という分子が睡眠の質に大きく関与し、睡眠の不具合による老化の促進や、寿命への悪影響が証明されたという。Prdm13は老化・寿命と睡眠を結ぶ鍵となる物質と考えられ、ヒトへの応用が期待される。
医学 〈シリーズ〉がんから身をまもる 第4回 標準治療と先進医療 がん細胞と免疫抑制細胞を選択的に殺す光免疫療法 標準治療は長期にわたるがん研究の集積だが、既存の治療法のほとんどが、がん細胞以外の正常細胞にもなんらかの障害を与え副作用を引き起こすという課題を残す。一方、画期的なコンセプトによる効果的な治療法が誕生している。筆頭が、光エネルギーでがん細胞を破壊すると同時に免疫を活性化させ、正常細胞に障害を与えずにがん細胞と免疫抑制細胞だけを選択的に殺す光免疫療法だ。論理は確立されており、一部のがんが保険適用になっている。今後の進展が期待される。
医学 〈シリーズ〉がんから身をまもる 第4回 標準治療と先進医療 信頼度の高い科学的根拠——標準治療はがん治療の「王道」 「標準」という言葉から、標準治療をトップクラスではないと考えている人は少なからずいるのではないか。ところが事実は真逆で、標準治療こそが、質の高い臨床試験を重ね、確かな科学的根拠に裏づけられた信頼度の高い、現時点における最良の治療だ。一方、オプジーボに代表される画期的な治療薬が登場し、先進医療に関心が集まっている。しかしその有効性や安全性は評価段階で、臨床試験の域を出ない。ただし、劇的な効果があった治療は標準治療として迅速に承認される。
栄養 特集 知られざるポリフェノール 抗酸化・抗菌作用だけではない 緑茶カテキンの多様な作用 カテキンはポリフェノールの一種で、緑茶に多く含まれ、渋味の主成分でもある。緑茶は古くから体に良いとされてきたが、最近の研究でカテキンの持つ強い抗酸化作用や、抗菌・抗ウイルス作用が科学的にも証明され、さまざまな医療に利用されるようになった。その他にも、抗動脈硬化、脂質異常の改善、内臓脂肪の減少作用、血糖値や血圧の上昇抑制など、さまざまな効能が報告され、生活習慣病予防にも効果を発揮しそうだ。緑茶は正真正銘のスーパーフードというほかない。
栄養 特集 知られざるポリフェノール 腸内細菌との相互作用で強い活性を持つ物質へと変化 ポリフェノールが小腸で吸収される割合は10%に満たず、そのほとんどは大腸に送られる。そのためポリフェノールが代謝に直接作用する可能性は低く、腸内細菌の働きにより構造が変化し、新たな機能と強い活性を持つ物質に変わると考えられている。一方、腸内細菌に影響を及ぼすことも分かってきた。腸内細菌が産生するフェノールは尿毒症や糖尿病、糖尿病性腎臓病などの疾病の原因となるが、ポリフェノールで制御することができるという。腸内細菌との相互作用が注目される。
栄養 特集 知られざるポリフェノール 薬学的解析では説明できない まったく新しいメカニズム 血圧低下や耐糖能の改善などの有益な作用があるとして、近年ポリフェノールが注目されているが、実はほとんどが排泄されてしまい体内にはほぼ吸収されない。つまりポリフェノールを摂取しても、微量栄養素や医薬品と異なり、生体利用性は極めて低い。それなのに、なぜ多くの健康効果が報告されているのか―。ポリフェノールで活性化した神経系が、慢性疾患や感覚機能のリスクを低減させるという。その作用は薬学的解析では説明できない、まったく新しいメカニズムだ。
栄養 特集 知られざるポリフェノール 〈巻頭インタビュー〉さまざまな生理作用の解明で「第7の栄養素」となれるか ポリフェノールは、動けない植物が、置かれた環境で生存するために産生する化学物質だ。人間にとって有用な生理作用で知られ、抗酸化作用や抗炎症作用などが報告されているが、その作用メカニズムには謎も多い。その中で最も確実性が高いのが血管の保護作用だ。動脈硬化を抑制して心血管疾患の発症に予防作用があるという。解明が進めば、3大栄養素、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維に続く「第7の栄養素」となる日が訪れるかもしれない。
生物 暮らしの科学 第64回 セミはなぜ鳴くのか!? 鳴き声から生態を知る 春雷、梅雨の雨音。こんなふうに季節を象徴する音がある。夏の音といえば、蟬時雨だろう。それにしても、なぜセミは鳴くのか? 今回は、セミの鳴き声を視点に、知っているようで意外に知らない生態を探ってみた。