生物 NEW 暮らしの科学 第64回 セミはなぜ鳴くのか!? 鳴き声から生態を知る 春雷、梅雨の雨音。こんなふうに季節を象徴する音がある。夏の音といえば、蟬時雨だろう。それにしても、なぜセミは鳴くのか? 今回は、セミの鳴き声を視点に、知っているようで意外に知らない生態を探ってみた。
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話40 「他人の釜の飯」 筆者が学んだ1975〜1979年の獣医学は4年制(現在は6年制)で、基礎から臨床まで履修内容が膨大であり、4年生時の指導は「とにかく獣医師国家試験合格を優先すること」であったから、所属研究室(家畜微生物学)では満足な研究修業に至らなかった。従って、卒業とともに企業の研究所(東京都国立市谷保)で希望する微生物学の研究職に就くことはできたけれども、何しろ基本ができていないから、入社してしばらくは自らの不出来に鬱々とした状況が続いた。
食 気になる人の「気にする食卓」第86回 相川七瀬 1995年に「夢見る少女じゃいられない」でデビューし、来年デビュー30周年に突入する歌手の相川七瀬さん。現在もライブ活動を積極的に行いつつ、子育てと、今年の4月からは大学院へ進学して日本の神事や伝承文化の研究にも取り組んでいる。自身の活動を通じて感じた、限られた時間を有効に使うことの大切さ、健康維持の秘訣について伺った。
生物 「細胞と遺伝子」 第27回 エピゲノムは細胞分化の取扱説明書 受精卵が細胞分裂を繰り返し、各器官に分化して体は形成される。生命の根源ともいえるこの仕組みには、遺伝子の活性化・不活性化を制御するエピジェネティクスと呼ばれる制御機構が関わる。その「取扱説明書」ともいえるエピゲノムはゲノムを化学修飾したもので、卵子と精子に存在し受精後に初期化される。ところが、一部に初期化されない領域があり、その情報は組織に伝わる。一方、化学修飾は化学反応であるため、エピゲノムは環境の影響を受けるという。
医学 「神経難病」の最新治療 筋肉が萎縮する難病ALS 克服を目指す多様な治療法 脳が発した筋肉を動かす指令は、脳幹や脊髄を通って各筋肉に伝わるが、この経路(運動ニューロンと呼ばれる)が損なわれると筋肉は萎縮し、全身の筋力が低下して運動麻痺を起こす。ALSと呼ばれる筋萎縮性側索硬化症は進行性で、呼吸や嚥下に関わる筋肉にまで及ぶと、人工呼吸器や胃ろうに頼らなければ命に関わるという。根治がかなわない難病だが、進行抑制が期待される新薬や、より効果的なリハビリ法も開発されており、治療法は進化している。
医学 「神経難病」の最新治療 増加傾向のパーキンソン病 薬物治療と運動療法が重要 パーキンソン病は、神経伝達物質のドパミンを産生する神経細胞が変性したり脱落することで発症し、さまざまな症状を引き起こす。なかでも動くことが困難になり、手足が震え、筋肉がこわばり、姿勢を保てない——といった運動障害が特徴的で徐々に進行する。高齢者に多い代表的な疾患の一つで、有病率は増加傾向にある。薬物治療と運動療法の双方を早期から開始することが重要で、治療法が発展した今では、パーキンソン病が直接の死因になることはまずないという。
社会 特集 ペットと暮らす ルポ 「人にはできないこと」を担うファシリティドッグのちから 「ファシリティドッグ」は、仔犬のときに厳選され、専門施設で2年間の高度なトレーニングを経て初めて役割を果たせる特別なコンパニオンアニマルだ。病院などに常勤して、患者をはじめ、施設にいるすべての人に安心感を与える。特に大きな心理的負荷がかかる場面でのサポートは、ファシリティドッグにしかできない重要な仕事で、その効果は着実に上がっている。ただ、今の日本ではファシリティドッグを導入している病院はごく限られており、支援の広がりが求められている。
医学 特集 ペットと暮らす マクロファージに関与するAIM ネコを腎臓病から救うか!? ネコに頻発する慢性腎臓病は、はっきりとした原因が分からず、完治は不可能とされてきた。しかしAIMというタンパク質が治療薬の鍵を握ることが分かってきた。AIMは、貪食細胞のマクロファージに死細胞などいわゆる体内の「ゴミ」を食べさせる役割を持ち、多くの動物では機能している。ところが、なぜかネコの仲間だけはAIMが活性化せず、その結果ゴミが腎臓にたまり腎臓病を引き起こす。AIMを投与することでマクロファージはゴミを貪食し、腎機能が改善する。
栄養 特集 ペットと暮らす ペットが健康で過ごせるために知っておきたい食の知識 ペットが健康に暮らすために食はとても重要だ。しかし、イヌは雑食もしくは肉食性のある雑食で、ネコは完全に肉食と、それぞれで食性が異なるため、何を食べさせるかには細心の注意が必要だ。今では、最適化されたペットフードがスーパーやコンビニで手軽に手に入るので、あまり頭を悩ませずに済む。ただしイヌやネコにもメタボリックシンドロームが見られ、新たな心配事が浮上している。大切なペットに長く健康に過ごしてもらうためには、ヒト同様、正しい食の知識が必要だ。
医学 特集 ペットと暮らす 〈巻頭インタビュー〉動物とのふれあいは人の健康にどのような効果をもたらすか 動物とふれあうことで前向きになれたり、気持ちが穏やかになったりすることを実感する人は多いはずだ。動物好きにとってペットを飼うという行為は、単なる飼育を超える特別な意味合いを持っているようだ。事実、海外では、ペットが人の感情に影響し、健康に良い効果をもたらすという、これまで経験的に理解されていた「通説」についての研究が進んでいて、確かなエビデンスも出てきている。このように科学的に証明されたペットの効用は、実社会でも取り入れられつつある。