社会 NEW 特集 住環境の新たな課題 新たな脅威として浮上した高湿度環境 高断熱・高気密の高性能住宅が普及する中、室内空気質への関心が高まっている。かつてシックハウス症候群の主因だった建材由来の化学物質は、法規制の整備で大幅に減少した。しかし現在、新たな脅威として注視されているのが「ダンプネス(高湿度環境)」だ。加湿器の使用や洗濯物の部屋干しが室内湿度を押し上げ、結露やカビを招く。その結果、カビの胞子やダニの死骸がアレルゲンとなって呼吸器疾患を引き起こす。気密性の高い住宅ほど、湿度管理が健康を左右する。
医学 NEW 特集 住環境の新たな課題 なぜ日本人は入浴中に命を落とすのか 日本では年間2万人以上が入浴中に命を落としている。浴槽に肩まで浸かる入浴スタイルが深く関与しており、入浴死は事実上、日本特有の病態だ。原因はヒートショックだけでなく、持病や薬物の影響など複合的な要因が絡む。温暖なはずの鹿児島県で入浴死が多いのは、脱衣所に暖房がない住宅が多く、温度差が生じやすいためだ。気象データを解析して「危険な温度条件」を特定し、入浴死リスクを3段階で示す「入浴時警戒情報」の発信が予防の新たな手段として注目される。
食 特集 進化する日本の養殖 養殖と水耕栽培の閉鎖循環型食料生産 魚の養殖と水耕栽培を1つの水の流れで結ぶアクアポニックスは、硝化細菌の働きで魚の排泄物を植物の養分に変え、排水をほぼ出さない閉鎖循環型の食料生産システムだ。農薬・抗生物質を使わず、病原体や寄生虫の侵入も遮断できる点で陸上養殖の課題に応える。さらに、体液に近い低塩分でも育つ海水魚の生理特性を生かし、海水魚と塩生植物を組み合わせた新たな可能性も探られている。一方、コスト高や認証制度の枠組みの不在など、産業化に向けた課題は残る。
食 特集 進化する日本の養殖 海水を使用しない海水魚養殖が可能に! 海水魚養殖は海水の確保が不可欠で、立地や水質管理の制約が大きい。岡山理科大学が開発した好適環境水はナトリウム・カリウム・カルシウムの3成分だけから成る人工飼育水で、海水魚と淡水魚を同一環境で飼育できる第3の水だ。浸透圧調整の負担軽減により通常比1.2〜3.1倍の成長促進が得られるほか、寄生虫や病原体リスクの低減も確認されている。完全閉鎖循環式陸上養殖との組み合わせにより、砂漠や内陸部での実用化が進む。宇宙食料生産への応用研究も視野に入る。
食 特集 進化する日本の養殖 浮沈式生け簀とスマート漁業が開く未来 沿岸養殖は適地の飽和・赤潮の頻発・海水温上昇という三重苦に直面し、養殖域の沖合展開が急務だ。空気と海水を均等置換する浮沈式生け簀は、台風級の高波にも耐えうる沖合養殖を実現。沿岸域では、深層水を循環させる海面半閉鎖循環式養殖システムが赤潮・寄生虫対策に有効だ。さらに、洋上風力発電との連携や多栄養段階統合養殖(IMTA)、センサーやAIを活用したスマート漁業を組み合わせ、エネルギー・食料・生態系保全を統合した持続可能な沖合海域の創出を目指す。
食 特集 進化する日本の養殖 〈巻頭インタビュー〉近大水産研究所が挑む完全養殖の最前線 1954年に小割式網生け簀の試験を先駆けた近畿大学水産研究所は、1970年からクロマグロ完全養殖の研究に着手し、32年の歳月を経て2002年に世界初の完全養殖サイクルを確立した。2026年には、深海に棲む高級魚ノドグロの世界初となる完全養殖も発表し、完全養殖魚種は今では30種に上る。一方、富栄養化や陸上養殖のエネルギーコストなど環境負荷の課題は残る。選抜育種やゲノム編集を組み合わせた品種改良を通じ、卵から食卓まで一貫して管理する日本の養殖技術の最前線。
社会 暮らしの科学 第76回 猛暑の運動不足はラジオ体操第1で解消! 夏が来た。猛暑が続く。不要不急の外出は控えたい。だが、室内でじっとしていると、運動不足に陥る。そこで活用したいのが、ラジオ体操第1だ。わずか3分。いつでも、どこでも、誰でも実践できる。今回は、ラジオ体操の健康効果と実践のコツに迫った。
食 気になる人の「気にする食卓」第98回 榊󠄀原郁恵 高校生のときに第1回ホリプロタレントスカウトキャラバンで優勝し、歌手デビューを果たした榊󠄀原郁恵さん。子どもの頃、母に教えてもらった栄養三色運動でバランスの良い食生活を送っていたことで、芸能界の忙しい仕事も元気にこなしてきた。その体験から、子どもの弁当作りや家庭料理、自分の食生活でも栄養バランスを常に大切にしている。
生物 細胞と遺伝子 第39回 細胞膜の損傷が老化を引き起こす 細胞膜に傷がついた細胞の運命は、修復されて生き延びるか死ぬかの2択と考えられていたが、最新研究で「細胞老化」という第3の道があることが示された。老化細胞は慢性炎症や組織の機能低下を招くが、その原因はDNAの傷や変化によるものとされてきた。細胞膜の損傷もまた老化を引き起こすという今回の発見は、老化研究に新たな視点をもたらす。変形性関節症や動脈硬化など加齢に関連する疾患への介入を通じ、健康寿命の延伸につながる可能性を秘める。