自然 特集 科学的防災のススメ 増える洪水・土砂災害——情報活用で適切な行動を! 大規模な水害が世界各地で多発している。日本でも洪水や土砂災害が各地で起こっている。いざというとき、適切な避難行動を取るためには確かな情報は不可欠だ。今は気象庁の危険度分布情報サイト「キキクル」をはじめ、インターネットやマスメディアから、信頼できるさまざまな防災情報が得られる。また、地方自治体が公表しているハザードマップを見れば、身の回りの危険をあらかじめ把握できる。適切に行動するには、情報を総合的に活用することが何より重要なのだという。
自然 特集 科学的防災のススメ 進化する観測システム——陸海統合地震津波火山観測網 地震大国・日本は、地震、津波、火山活動に関して最も進んだ観測システムを有する国の一つだ。全国の陸域から海域までを網羅する約2100カ所の観測データを統合し、気象庁などの関係機関と効率的に情報共有を行うため、防災科学技術研究所は陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)の本格的な統合運用を2017年に開始した(図1)。地震発生直後に緊急地震速報が配信され、約1分半で震度情報が出される。これができるのは日本だけだ。
自然 特集 科学的防災のススメ 〈巻頭インタビュー〉気候変動に対応するために「転換期」を迎えた日本の防災 地球温暖化を背景とした気候変動により、日本に限らず世界的に大規模な洪水が多発している。こうした状況を受け、日本の防災対策は大きな転換期を迎えている。今後は台風や線状降水帯、ゲリラ豪雨といった気象災害にも対応すべく、より精度の高い予測はもとより、洪水を前提とした治水計画など、現実的でより進化したフェーズに進もうとしている。同時に「不確定なことを伝える」適切なリスクコミュニケーションも求められる。
自然 特集「植物」驚異の生存戦略 変化する自然環境を生き抜く「概日時計」の巧みな仕組み 最適な生存環境を求めて自ら移動することができない植物。変化する環境に適切な対応をしながら、植物が生き抜くための生存戦略として重要なのが概日時計だ。細胞ごとに時計遺伝子があり、それらが何らかの方法で同期していると考えられている。植物の生理現象に概日時計がどのように関わっているのか? また、哺乳類の脳に相当するような中枢を持たない植物は、どのようにして複数の時計を同期しているのだろうか?
自然 特集 「植物」驚異の生存戦略 「微生物」との共生で獲得した「外敵」から身を守る力 植物の祖先は進化の過程でシアノバクテリアという細菌を取り込み、無機物から有機物をつくる光合成という力を獲得した結果、ほとんどの生物の栄養を一手に担うことになった。さらに植物はエンドファイトと呼ばれる微生物と共生し、ともに進化することで免疫機能を高め、温度耐性を獲得するなど、外部環境の悪影響を抑制する機能を獲得してきた。植物とエンドファイトの利害関係は同等で、それは長い期間を経てお互いに落としどころを見つけた、自然の摂理といえる。
自然 特集「植物」驚異の生存戦略 解明されつつある光合成のメカニズム 光合成は植物が光を利用して二酸化炭素と水を有機物に変換させ、酸素を放出する反応だ。地球上の酸素を必要とする生物は光合成のおかげで生存・進化できるわけで、光合成は生命誕生以来最も優れた仕組みの一つともいわれている。一方、そのメカニズムの詳細は長い間謎だった。しかしここにきてようやく、その一端が明らかになってきた。さらに解明が進み、人工光合成が可能になれば、地球温暖化対策にも大いに貢献するに違いない。
自然 特集「植物」驚異の生存戦略 〈巻頭インタビュー〉「4億7000万年」を生き抜いたしたたかな「進化形態」 植物は能動的に動いて環境を変えることはしない。しかし置かれた環境に順応し、命を確実につなげる生殖手段によって生育地を広げてきた植物は、地球上のあらゆる所で繁栄している。しかも、光合成によって無機物から有機物を生み出す能力があり、その圧倒的な生産性で動物の栄養を一手に担う。チャールズ・ダーウィンが言ったとされる「地球で生き残ることができるのは、最も強いものではない。最も賢い動物でもない。ただ変化できる生き物だ」とはまさに植物を指し示している。
自然 暮らしの科学 第48回 植物の香りで知る生態系の不思議 キンモクセイは独特の甘い香りで秋の訪れを知らせてくれる。だが、同じように秋に咲くコスモスやリンドウは香りがしない。なぜ、香りを放つ植物とそうではない植物があるのか? こんな疑問を出発点に、今回は、植物の香りについて探求してみた。
自然 特集 「脱炭素」の現実 環境に負荷をかけない「代替プラスチック」の開発 石油製品のプラスチックは、その製造・焼却過程でCO2が発生する。さらに自然環境で分解されにくいため、さまざまな環境問題の原因にもなっている。海洋生物や生態系はもとより、食物連鎖を通じてヒトへの影響も懸念される。しかし、今や日常生活に欠かせない存在のプラスチックを根絶させることは不可能だ。使用量の削減は当然のこととして、環境への負荷を最小限に抑える代替プラスチックの開発が急がれる。
自然 特集 「脱炭素」の現実〈巻頭インタビュー〉「排出削減46%」実現へ 待ったなしの「構造変革」 CO2など温室効果ガス排出削減への取り組みが世界的に加速している。日本も2030年度の温室効果ガス排出削減目標を、2013年度比で46%減とすることが決まった。しかし、この壮大な目標を実現するには、多くの課題をクリアしなければならず、これまでの常識にとらわれた社会経済の構造のままでは極めて困難というほかない。技術的な革新はもとより、社会の仕組みのドラスティックな変革が求められている。