医学 特集 進化する「視覚化」 新たなイメージングシステムで関節炎病態の可視化に成功! 感染した組織が免疫細胞の遊走を誘導するケモカインを産生すると、血液中の免疫細胞が感染組織へ遊走して細菌を貪食して炎症は収束するが、遊走が続くと健康な臓器をも攻撃し、リウマチなど自己免疫疾患が発症する。自己免疫疾患ではケモカインによる免疫細胞の遊走への関与は判明していたが、詳細は謎だった。しかし、免疫細胞や走化性因子の動態を可視化し、リアルタイムに解析できる新たなイメージングシステムの構築により、その機序が明らかになってきた。
医学 特集 「歯と口」の健康 いつも気になる! 7つの「よくある質問」 1989年に、80歳になっても歯を20本以上保とうという「8020運動」が厚生省(当時)と日本歯科医師会によって提唱され、今では、歯に関する意識はかなり高くなってきている。最近は、歯肉(歯茎)、舌など口内の環境や状態が心身の健康に深く関与しているということで、口腔への関心も高まりつつある。そこで、口全体について、日頃から感じている7つの代表的な「よくある疑問や心配」について、日本歯科医師会の小山茂幸常務理事に答えていただいた。
医学 特集 「歯と口」の健康 心身の健康に影響する口腔機能の低下 フレイルとは、筋力や認知といった体の機能が加齢に伴い低下していく症状のことで、口腔の機能低下をオーラルフレイルという。オーラルフレイルでは嚙む力が弱くなるため、軟らかいものしか食べられなくなってさらに咀嚼機能が低下していく―という「負の連鎖」が起きる。栄養の低下に直結し、また、摂食嚥下障害などの原因ともなり、健康維持に大きな影響を及ぼす。オーラルフレイルを防ぐには、まず歯を大切にすること。そして、口腔の筋肉を鍛えることが肝要だという。
医学 特集 要注意! よみがえった感染症 結核はやっかいな感染症 「低まん延国」でも油断禁物! 罹患率が10万人あたり10人を下回るとWHOが定める「結核低まん延国」になる。日本はようやくその仲間入りを果たした。結核と聞くと「昔の病気」のイメージが強いが、実は治療期間に約6カ月かかる、とてもやっかいな慢性感染症だ。しかも結核の診療経験をほとんど持たない医師が増加して、見逃されるリスクもある。今後は欧米同様、外国人在留者の患者が増えることも予測される。「低まん延国」になったからといって対策の手を抜いてはならない。
医学 特集 要注意! よみがえった感染症 女性の梅毒患者が急増 性行動の多様化が一因 2022年、梅毒患者数が1999年に統計を取り始めて以来、初めて1万人を超えた。ただしこれは「氷山の一角」。というのも、梅毒の症状は多彩で見逃されやすいためだ。なかでも、20~24歳の若い女性の患者数が急増していることが危惧される。背景には性行動の多様化がある。例えば、SNSで出会った人とのセックスが感染拡大に大きく影響しているともいわれている。母子感染による「先天梅毒」の恐れもある。今はよく効く抗菌薬があるので、感染したら完治させることが大切だ。
医学 特集 科学的防災のススメ 災害時の感染症対策の要諦は普段の生活の延長線上にある 密集する場所では感染症は必ず起こる。しかし密集を避けられないのが災害時の避難所。では、避けられない感染症をどう制御するか―。重要なのは、適切な対策と流行の兆候を監視する体制なのだという。東日本大震災のときは、岩手県で専門家と行政の感染制御支援チームが感染症の発生動向を調査し、集団感染を小規模に抑えることに成功している。一方、コロナ禍を経て、密集する場所での感染症対策は社会に浸透してきている。この経験は無駄ではないはずだ。
医学 暮らしの科学 第54回 毎日しっかり歩いて脳から元気になろう! 運動の秋である。体を動かして、気持ちも体も健やかにしたい。いつでも、どこでも、誰にでも手軽に始められる運動といえば、“歩くこと”ではないだろうか。今回は、歩くことで脳から元気になる科学的な方法を探求した。
医学 特集 悩ましい頭痛 つらい症状からついに解放!? 進化する片頭痛の治療法 片頭痛は文字通り片側だけがズキズキ痛むものではなく、両側のときもあり、たいていが月に数回ほど発作が起きる。ひどいときは嘔吐(おうと)したり、光や音、においなどに過敏になったりして、あまりのつらさに動けないと訴える人も多い。前兆があったりなかったり、症状の程度もさまざまなため、適切な治療が受けられないケースも多々あるという。発症メカニズムは解明されていないが、予防治療法や治療薬は格段に進化している。あの痛みから解放される日もそう遠くない⁉
医学 特集 悩ましい頭痛 異なる「起こり方」と「経過」 あなたはどのタイプ? 頭痛に悩んでいる人は多い。そのほとんどが緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛のいわゆる「三大慢性頭痛」だが、症状の「起こり方」と「経過」が多岐にわたるため、治療スタート時にどのタイプの頭痛なのかを鑑別することが求められる。しかし自己判断で市販薬に頼った結果、こじらせてしまい、薬物乱用頭痛に陥ることも少なくない。タイプによって効果的な治療法や予防法は異なる。また脳腫瘍やくも膜下出血など重大な病気の徴候かもしれない。頭痛専門医の受診が何より肝要だ。
医学 特集 血管を知る 「血管形成」の解明は疾病治療の新たな扉を開くか 血管は細胞や組織に栄養や酸素を運ぶ役割を持つ一方で、血管内皮細胞そのものが分化・増殖する過程(血管形成)では、組織の維持に寄与する物質を分泌したりして体の恒常性を保つ。また、がんが増殖を繰り返すことができるのは、もともと血管がなかった細胞に血管を新生させ、栄養をどんどん取り込むからだ。血管の異常はCOVID-19などの感染症やさまざまな病気と深く関連するともいわれている。血管形成の解明は、疾病治療の新たなアプローチとなるに違いない。