生物 細胞と遺伝子 第38回 睡眠を誘導する「起きている状態」の履歴 睡眠の研究には「どう眠るのか」と「なぜ眠るのか」の2つのテーマがある。そのうち「どう眠るのか」の睡眠研究は古く、睡眠を引き起こすさまざまな物質が候補に挙がってきたが、どれも決め手に欠く。そこで発想を転換し、脳が記憶する「起きている状態」の履歴が眠気を生み出しているのではないかという仮説の下、研究を重ねたところ、あるメカニズムが浮かび上がった。一方「なぜ眠るのか」の追究は、「意識とは何か」という壮大な真理の解明につながるという。
生物 細胞と遺伝子 第37回 体温を下げない「温かい冬眠」 遺伝情報を保存・伝達する核酸はすべての細胞に存在する。核酸の遺伝子を対象とする核酸医薬の開発が進んでいる。核酸医薬はmRNAに結合することで病気の原因となるタンパク質をつくらせない。一方mRNA医薬は必要なタンパク質をつくらせることで効果を発揮する。どちらも狙う遺伝子の情報を制御することで、より安全な効果が得られるとされ、COVID-19のmRNAワクチン普及もあり注目される。mRNAの免疫反応への対処が今後の課題なのだという。
生物 細胞と遺伝子 第36回 mRNAワクチンで注目! 核酸医薬の期待と課題 遺伝情報を保存・伝達する核酸はすべての細胞に存在する。核酸の遺伝子を対象とする核酸医薬の開発が進んでいる。核酸医薬はmRNAに結合することで病気の原因となるタンパク質をつくらせない。一方mRNA医薬は必要なタンパク質をつくらせることで効果を発揮する。どちらも狙う遺伝子の情報を制御することで、より安全な効果が得られるとされ、COVID-19のmRNAワクチン普及もあり注目される。mRNAの免疫反応への対処が今後の課題なのだという。
生物 細胞と遺伝子 第35回 インフルエンザウイルスは細胞間情報伝達で感染が促進する せきやくしゃみで、ほんの一部の細胞がインフルエンザウイルスに感染するが、その小さな始まりはやがて周囲へと広がっていく。こうした少数の感染部位から短期間で広がるウイルス感染のメカニズムが解明された。細胞に侵入したウイルスは、細胞間で情報のやり取りを行う「細胞同士の会話」を利用して隣接細胞のカルシウム濃度を上昇させ、感染しやすい状態に変える。このメカニズムを阻害することで感染の連鎖を遮断する、新たな治療戦略につながる可能性がある。
生物 細胞と遺伝子 第34回 遺伝統計学が予測する将来の健康リスク 遺伝情報解析の進化に伴いヒトゲノムの全配列解読が可能となった今、遺伝情報を統計的に解析する遺伝統計学と呼ばれる、新しい分野が注目されている。ゲノムは“現在”における個々の健康や疾病、嗜好、行動様式などあらゆる遺伝的関わりを記録するが、ゲノムを統計的に読み解くことで“過去”にどのような進化が影響したのかが分かってくるという。遺伝統計学は疾病リスクを予測し、個々の健康をはじめ公衆衛生など社会に大きく貢献していくはずだ。
生物 細胞と遺伝子 第33回 生命と音の不思議な関係 発酵過程で音楽を聞かせておいしくなったという酒や味噌、醬油などがある。半信半疑に思ってしまうが、音波を細胞に直接伝える研究が成功し、約190種類の遺伝子が音に応答することが初めて明らかにされた。微生物の細胞レベルで音が何らかの作用を及ぼした可能性は否定できない。さらに音波刺激には、脂肪細胞の成長分化を抑制する効果も確認されている。なぜ細胞が音に反応するのか、生物にとって音とは何か——生命との関連の追究は始まったばかりだ。
生物 細胞と遺伝子 第32回 がん細胞のミトコンドリアが免疫療法の鍵となるか 免疫細胞のT細胞はがん細胞を攻撃する性質を持つ。一方、がん細胞にはT細胞の攻撃をかわす免疫チェックポイントと呼ばれる仕組みが備わっている。免疫チェックポイント阻害薬は、その仕組みにブレーキをかけることでT細胞を活性化させ、がん細胞を死滅させる。ただ、効く患者と効かない患者の差が大きく、その理由は長らく不明だったが、がん細胞が自らのミトコンドリアを免疫細胞に送り込んで入れ替え、T細胞の働きを制限することが明らかになった。
生物 細胞と遺伝子 第31回 がんゲノムの突然変異には特有のパターンがあった! がん化に関わる遺伝子が突然変異を起こし、それが蓄積することで正常細胞はがん細胞に変化する。近年の大規模がんゲノム解析で、さまざまな原因によって引き起こされる突然変異には「変異シグネチャー」と呼ばれる特有のパターンが50種類以上存在することが明らかになった。変異シグネチャーは喫煙や紫外線などの発がん要因と密接に関連していることから、解析が進めば危険因子を正確に特定することができ、発生メカニズムの解明にもつながると考えられている。
生物 細胞と遺伝子 第30回 がん細胞を排除する細胞競合 変異した遺伝子を持つ細胞が、長期間のプロセスを経てがん細胞化することは分かっているが、がん化に至るメカニズムは未知の部分も多い。しかし正常細胞ががん細胞などの変異細胞を認識して排除する、細胞競合と呼ばれる仕組みがある。細胞競合とは正常細胞と変異細胞の生存競争のことで、つまり正常細胞の力を高めることができれば、がん化途上にある「前がん病変」を排除できるという。新たな予防的治療法の開発につながると注目されている。
生物 細胞と遺伝子 第29回 なぜメスのほうが長生きなのか 多くの生き物でメスのほうがオスよりも寿命が長い、ということは古くから知られている。しかし、そのメカニズムは依然として解明されていない。寿命のメカニズムを知るためには、実験動物での解析が必要であったが、マウスなどの実験動物の寿命の長さがボトルネックとなり研究が進んでいなかった。この度、脊椎動物の中で最も短命なキリフィッシュの研究で、生殖細胞が寿命に関与する機序の一部が明らかにされた。