医学 「細胞と遺伝子」第6回 オートファジーとアンチエイジング 大隈良典博士がノーベル生理学・医学賞を受賞したオートファジー(自食作用)の研究が飛躍的に進んでいる。私たちを病気から守っているオートファジーが年齢とともに低下してしまう原因はルビコンというタンパク質であることが判明した。今まで経年劣化と考えられていた老化や死を遺伝子に組み込まれたプログラムと考えると、ルビコンの活性化を止められれば、老化のプログラムも止められるのだろうか。
医学 「細胞と遺伝子」第5回 新型コロナウイルスと治療法 2020年8月31日、鹿児島大学の金蔵拓郎教授が新型コロナウイルス感染症の治療法の一つとして、血液中の炎症細胞を除去する医療機器を使って、重症化を予防できるという研究論文について発表した。そのきっかけは6月に発表されたスペインの論文。潰瘍性大腸炎の患者が新型コロナウイルス感染症に罹患したとき、この治療によって双方が改善されたという。これから期待される新たな治療法とは。
医学 「細胞と遺伝子」第4回 麻酔薬と神経細胞 1804年、江戸時代の医師・華岡青洲が「通仙散」を用いた全身麻酔手術を行った。西洋では1846年に、アメリカでウィリアム・モートンが行ったジエチルエーテルによる全身麻酔手術が初の成功例となる。しかし意外にも最近まで、なぜ麻酔薬が意識を失わせるのか、そのメカニズムは200年もの間解明されていなかった。2020年春、日本とアメリカで、全身麻酔の作用機序に関する2つの論文が相次いで発表された。
医学 「細胞と遺伝子」第3回 ウイルス(承前) 日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策は、5月25日の緊急事態宣言の全面解除を区切りに新たな局面に入った。ワクチンができるまでの間、私たちは免疫を持たず、まさに丸腰のまま、この未知のウイルスと闘わなければならない。けれども、踏みこたえていたその間にも、研究者たちは確実に、その正体を明らかにしつつある。東京大学医科学研究所の河岡義裕教授に、前号に続き再び話を聞いた。
医学 「細胞と遺伝子」第2回 ウイルス 「薬がない、ワクチンがない。今回はゼロからのスタート」。人類は、未知のウイルスとどのように闘い、共存を模索していけばよいのだろうか。2020年代の「細胞」研究と「遺伝子」研究の相克を、さまざまな観点から追う連載。第2回は、世界的大流行となった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の正体について、ウイルス学の世界的権威である東京大学医科学研究所感染症国際研究センター長の河岡義裕教授に聞いた。
医学 「細胞と遺伝子」第1回 出生前診断 2003年、ヒトゲノム計画の解読が完了し、次世代シークエンサーが登場した。一気に「遺伝子の時代」となったかのように見えた反面、解明が進むにつれ、かえって遺伝子というものの不確かさも明らかになってくるのではないか―。そうした2020年代の「細胞」研究と「遺伝子」研究の相克を、さまざまな観点から追う新連載。第1回は、筆者自身の問題でもあった「出生前診断」をテーマにスタートする。