生物 「細胞と遺伝子」 第22回 「リュウグウ」の粒子に生命の謎を解く鍵があった! 日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」へのタッチダウンを成功させ、5.4ɡのサンプルを地球に持ち帰ったのは2020年12月のことだった。 それから約2年がたった今年3月、このサンプルの分析結果が社会に大き ……
生物 「細胞と遺伝子」 第21回 オスの細胞で卵子を生成 性を決定する因子はさまざまで、哺乳類や鳥類は性染色体の構成で性が決定する。例えば、ヒトやマウスのオスはX染色体とY染色体が対の「XY」を持ち、メスはX染色体が2つ組み合わさる「XX」を持つ。新たな研究では、オスのマウスのiPS細胞を用い、「XY」のY染色体を消失させ、そこにX染色体を入れることで、卵子になれる「XX」を持つ細胞の生成に成功。この卵子に別のマウスの精子を受精させることで、オス同士で子をつくることが可能になるという。
生物 「細胞と遺伝子」 第20回 冬眠の謎に迫る 変温動物は気温が下がると体温も低下するので自動的に休眠状態になる。一方、体温を維持する恒温動物は冬でも生活できるが、クマやリスなどは冬眠する。なぜ冬眠するのか——。代謝を制御し、蓄えた餌や脂肪をちびちび消費して冬場を乗り切るため、というのが大きな理由だが、詳細なメカニズムはまだまだ解明されていない。しかし「生と死」という大きな命題へとつながる奥の深い研究なのだという。
生物 「細胞と遺伝子」 第19回 ベニクラゲの「若返り遺伝子」 老化は宿命、とされているが、なんと若返ることができる生物が存在する。体長4~10㎜の小さなベニクラゲは、危機的状況に陥るとポリプと呼ばれる成長段階の若い形態に戻ることができる。若返るというのは、細胞を未分化の状態に戻してから、再び若い細胞に分化させることだ。この若返り機構に特異的に働いている遺伝子配列が解読された。ヒトへの応用はさすがに難しいが、肌の老化を遅らせることなどは可能性があるかもしれないという。
生物 「細胞と遺伝子」 第18回 生物と物質をつなぐプロセス 「生きている」ように動くロボットは生物学的には生きてはいないが、視点を変えて工学的な立場で考えると、「生きている」細胞は、情報処理能力と運動機能を備えたロボット的なものともいえる。生物と物質は完全に分断されるものではなく、そのあいだには連続性が存在するはずだという。生物と物質をつなぐプロセスが理解できれば、例えば免疫細胞のようなものや、脳のようなコンピュータを作ることができるかもしれない。
生物 「細胞と遺伝子」 第17回 「生身」の皮膚をまとったヒューマノイド 近年、ロボットは格段の進歩を遂げ、機能や動作の完成度は目を見張るものがある。中でも人間の姿をしたヒューマノイドは、その多様な可能性から注目されている。しかし皮膚はシリコンゴムでできていて、見た目もさることながら、質感は少々不気味だ。もし生きている皮膚組織をまとうことができたら不気味さも解消し、人間により近づける―。このような生体素材と機械の融合の研究が進んでいる。SFの世界がいよいよ現実になりつつある。
医学 「細胞と遺伝子」 第16回 「細胞老化」は「COVID-19」にも関与する! がん遺伝子の活性化や過度なストレスなどによってDNAが大きな損傷を受けたとき、細胞は自らを破壊してがん化を防ぐ(アポトーシス)。また、細胞分裂を停止したものの死なずに体内に長期間存在し続ける細胞老化も同様に機能する。しかしこの細胞老化の最大の問題点は、さまざまな炎症性物質を分泌するSASPを誘引することで、加齢性疾患を招き、高齢者や糖尿病などの人でCOVID-19が重症化しやすくなったり、後遺症の要因になったりするという。
医学 「細胞と遺伝子」 第15回 がんとの共生を可能にするCAR-T細胞療法 CAR-T(カーティー)細胞療法は、T細胞の遺伝子を改変することでがん細胞への攻撃力を増強する治療法で、がんとの共生を可能にする画期的な手法として注目されている。血液がんでは高い治療効果を発揮しているものの、塊をつくって防御する固形がんを攻撃することは難しく、苦戦を強いられてきた。しかしそのハードルもやがてクリアできるはずだ。CAR-T細胞は長期間がんを攻撃する能力を持つ。がんと共生する時代がいよいよやってくるかもしれない。
医学 「細胞と遺伝子」 第14回 iPS細胞でアルツハイマー病の細胞を再現 アルツハイマー病は、多くの遺伝子の小さな作用の集積により、病因であるタンパク質が蓄積していくということはわかっている。ではなぜ、どのようなメカニズムで発病するのか―この難題について調べる有効な手法はこれまでなかったが、患者の血液細胞から作ったiPS細胞を脳の神経細胞に成長させ、病気を細胞レベルで再現することに成功。遺伝子の分析が培養皿の中で可能になった。言うなれば、iPS細胞を使えば病気のモデルは無限にできるという。
生物 「細胞と遺伝子」 第13回 日本発! ゲノム編集技術CRISPR-Cas3 「この病がこの世からなくなってほしい」 ある遺伝性難病の当事者からこのような悲痛な言葉を聞いた。親やきょうだいが次々に病にかかっていき、介護や看取りをして、自分もいつ発症するかわからない恐怖を抱えて生きている。現在は治療 ……