生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話35 プロバイオティクスの実験科学 発酵食品は「微生物の望ましい増殖と食品成分の酵素的変換によって作られる食品」と解釈されている。多様な発酵基材とこれを発酵させる微生物との組み合わせを有する数多くの発酵食品が世界中に存在する。我々は発酵食品を摂取することにより、同時にそれに含まれている発酵微生物をも摂取することが多い。そういうこともあってか、「発酵食品はプロバイオティクスではないのか?」と聞かれることがあるが、基本的に答えは「No」である。
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話34 発酵食品とプロバイオティクス 発酵食品は「微生物の望ましい増殖と食品成分の酵素的変換によって作られる食品」と解釈されている。多様な発酵基材とこれを発酵させる微生物との組み合わせを有する数多くの発酵食品が世界中に存在する。我々は発酵食品を摂取することにより、同時にそれに含まれている発酵微生物をも摂取することが多い。そういうこともあってか、「発酵食品はプロバイオティクスではないのか?」と聞かれることがあるが、基本的に答えは「No」である。
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話33 腸内細菌の培養と取り扱い ルイ・パスツール(Louis Pasteur, 1822~1895年)はもともとはフランスの化学者だったが、ワインの発酵や腐敗が酵母や細菌により生じること、さらには、カイコの病気や牧場の牛の炭疽病の問題解決や狂犬病のワクチン開発など、微生物学の領域で偉大な功績を挙げるに至った。
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話32 身近な動物たちの腸内フローラ 筆者は大学で獣医学を修めたが、卒業後はとんと臨床には関わっておらず、いわゆる「ペーパー獣医師」である。そんなわけで、獣医臨床の記憶として残っているのは、大学3年次終盤の、現在ならインターンシップともいえる臨床獣医研修のみである(現在の大学の獣医学教育は6年制であるが、筆者が学んだ当時は4年制)。
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話31 プロバイオティクスの菌種と菌株——どちらが大事か メジャーリーグベースボールの大谷翔平選手や将棋界の藤井聡太棋士など、近年の各界における若者たちの活躍は、頼もしいと感じるばかりである。個の特長が極めて鮮明に表れているといえる。腸内細菌の世界において、同じ菌種でありながら機能的に異なる菌株(strain)が存在することも同様である。
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話30 腸内フローラの多様性 「ダイバーシティ」というカタカナ英語が一般化するくらい、多様性の概念が浸透している。腸内フローラの網羅的な遺伝子解析では構成菌の種類の多少がα多様性として判断され、個体内の単純な菌種数を反映する指標から、これに菌種数の均等度も加味した指標まで用意されている。
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話29 胆汁酸と腸内フローラ 筆者が担当する「動物生理学」の講義では、学科学生を対象として、身体を構成する器官の構造や生理機能をわかりやすく解説している。中でも、専門の「臨床腸内細菌学」(ヒトや我々の身近な動物の健康と腸内フローラとの関連を探ることを ……
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話28 マイナーだけど重要な腸内通性嫌気性菌群 ヒト腸内フローラの主な生息部位である下部腸管の最優勢菌群は、Firmicutes門(新分類ではBacillota門)やBacteroidetes門(同、Bacteroidota門)に属する。一方で、生育に対する酸素の影響 ……
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話27 「科学技術英語」考 ウェブ環境の発達は論文などの学術報告の推進に寄与している。オンラインジャーナルは、論文の投稿から掲載までの時間をかなり短縮したし、オンラインで無料で制約なしに閲覧が可能なオープンアクセスジャーナルも増えている。生命科学の ……
生物 野本教授の腸内細菌と健康のお話26 プロバイオティクスの保健機能食品としての規制状況 本邦では、保健機能食品(特定保健用食品〈通称:トクホ、1991年9月より制度施行〉、栄養機能食品〈ビタミン、ミネラル〉、機能性表示食品〈2015年4月より制度施行〉)といった枠組みにおいて、食品の保健機能を謳うことが可能である。プロバイオティクスについても同様であり、トクホや機能性表示食品として実に多様なプロバイオティクス菌株の保健作用が謳われているかを、管轄の消費者庁のホームページを通じて知ることができる。