気になる人の「気にする食卓」第86回 相川七瀬

構成/編集部  写真/細田 忠

HEALTHIST INTERVIEW

相川七瀬(あいかわ・ななせ)

(歌手)

1975年2月16日生まれ、大阪府出身。1995年11月に「夢見る少女じゃいられない」で歌手デビューし、「恋心」「BREAK OUT!」などのヒット曲を生み出す。現在までのCDトータルセールスは1200万枚に上る。2024年4月からは國學院大學大学院へ進学し、音楽活動と学業を両立させている。

自分の健康を第一に考えて
リセットする時間を大切にしてほしい

1995年に「夢見る少女じゃいられない」でデビューし、来年デビュー30周年に突入する歌手の相川七瀬さん。現在もライブ活動を積極的に行いつつ、子育てと、今年の4月からは大学院へ進学して日本の神事や伝承文化の研究にも取り組んでいる。自身の活動を通じて感じた、限られた時間を有効に使うことの大切さ、健康維持の秘訣について伺った。

幼少期3世代で暮らしていた相川さんは、食卓に祖母の作る料理が並んでいたという。

小さい頃は祖母が同居していて、両親が共働きだったため祖母が夕飯を作ることが多く、食卓にはおからやナスを焼いたものなど純和食が並んでいました。たまにはハンバーグやスパゲッティなどを食べたいと思っていましたが、我が家はそんな献立でした。でも、今になってみると、そういうものを食べていたから健康に育つことができたんだと思っています。

高校を中退し、歌手デビュー準備のために東京で一人暮らしを開始する。

実家暮らしのときから週の半分くらいは料理をしていたので、東京で一人暮らしを始めても苦労はあまりありませんでした。正式デビューするまでは時間に余裕もあったので、魚を焼いたり、近所の豆腐屋さんで購入した豆腐でよく豆腐料理を作っていました。デビュー後は忙しくなり、食事は仕事先で出されたお弁当が中心になったのですが、お弁当ばかりだと体に良くないと途中から食べるのをやめました。その代わりにポットに入れて仕事先へよく持って行っていたのが、自宅で作った温かい野菜スープです。一度にたくさん作っておき、食べるときに卵を入れたり、カレーを入れるなどして味の変化も楽しんでいました。そのように温かいものを食べるように心掛けていたので、仕事が忙しくても大きく体を壊すことはありませんでした。

若い頃は意識して運動することはなかったが、2人目の子どもを産んでから体力の低下を感じて体づくりに取り組んでいる。

若い頃にジムへ通ったこともありますが、体力にそこそこ自信があったので真面目にはやっていなかったです(笑)。でも30歳を過ぎて、2人目を産んでから体力の低下を自覚するようになり、本格的に体力づくりに取り組むようになりました。パーソナルトレーナーを付けて週2回の筋トレを実践していました。現在は、自宅にエアロバイクがあるのでジムへ行けないときにこいでいて、週に2回はジムに通い筋トレやピラティスをやっています。基礎体力があると、ライブでも最後まで元気に歌いきることができるので、運動は欠かせません。

〈左〉岡山県総社市では毎年、市民の親子を対象に赤米の田植え体験を実施。参加者に、田植えを通じて食の大切さを学んでもらっている。〈右〉秋に収穫される赤い稲穂の赤米。収穫米は地元の小学校の給食で使われている。(写真提供:ファウンテン)

大学院に持参している相川さんのお弁当。高校生の次男も同じ弁当を食べている。〈左〉タコの酢の物、ウインナー、トマト、ブロッコリー、卵巻き、⽜⾁の野菜炒め。〈右〉きんぴら、トマト、ウインナー、カニカマの卵焼き、ブロッコリー、インゲン、鶏肉。(写真提供:相川七瀬)

赤米の伝承活動を通じて食育に取り組む

今年の4月から大学院へと進学した相川さんは、学業と仕事、家事と忙しい日々を過ごしている。

私は高校を中退しているため、高校卒業というやり残したことに挑戦したいという思いがあり、43歳のときに高等学校卒業程度認定試験を受け合格しました。その後、國學院大學神道文化学部に入学し、今年の4月からは同大大学院へ進学しました。学部より忙しくなり、勉強する時間が増え、仕事や家庭との両立がさらに課題になりました。そこで食事がおそろかになってはいけないと、栄養ある食事をしっかり摂るためにも大学院へは、毎日お弁当を持参しています。

神道と日本文化を学ぶだけではなく、市民向けの赤米フェスタを開催している。

20代から神社が好きで、日本中の神社を訪ねる中で赤米神事に出会いました。赤米は古代米の一種で、健康米としていろいろな場所で作られて流通していますが、神様のためだけに作っているのは長崎県対馬市、岡山県総社市、鹿児島県・南種子町の3カ所のみなのです。私は、その2市1町の赤米大使を務めています。赤米神事は氏子さんだけで行われてきた祭りのため、もっと一般の人にも知ってもらおうと、岡山県総社市で赤米フェスタを開催しています。参加者の親子に赤米の田植えを一緒に体験してもらい、普段何気なく食べているものは、誰かの手によって作られているという食育から、祭りや文化のことも学んでもらっています。

最後に相川さんから読者に向けて、健康を考えるうえでどのようなポイントが重要かを伺った。

私と同世代の人は、仕事や子育てなど自分のこと以外にもとても忙しく、自分のことはつい後回しにしてしまっていると思うのです。でも、やはり体が資本。体をいたわり自分を甘やかせる時間を意識してつくることができたらいいですね。私自身も忙しいからこそ、強制的にリセットする時間をつくっています。自分の健やかさを大切に、これからの人生をもっと輝かせたいです。

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ヘルシスト 286号

2024年7月10日発行
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