気になる人の「気にする食卓」第91回 DJ KOO

構成/編集部  写真/細田 忠

HEALTHIST INTERVIEW

DJ KOO (ディージェイ・コー)

(DJ・サウンドクリエーター)

1961年8月8日生まれ、東京都出身。1993年、ダンス&ボーカルグループTRFのメンバーとして「GOING 2 DANCE/OPEN YOUR MIND」でデビュー。2017年から、日本の文化である“お祭り”“盆踊り”とのコラボレーションをエンターテインメント型ジャパンカルチャーとして発信。大阪芸術大学客員教授、日本盆踊り協会特別芸術顧問。

病気の早期発見、早期治療を
呼びかけることが僕のライフワークです!

ダンス&ボーカルグループTRFのDJ&リーダーであり、エレクトロニック・ダンス・ミュージック、J-POP、アニソン、ゲーム音楽など幅広い音楽をDJスタイルでプレイするDJ KOOさん。2017年にTV番組の企画で人生初の人間ドックを受診して脳動脈が見つかり、手術を受けた経験を生かし、現在は健KOO第一をモットーに活動を行っている。

DJ KOOさんにまずは、高校時代の食生活で思い出に残っていることを伺った。

高校でラグビー部に入部し、朝練が7時からだったので、自宅で朝食、2時間目の休み時間に持参した弁当、昼休みに学校の食堂、放課後に練習した後は帰宅して夕食、と1日4食は食べていました。成長期で運動部に所属していたため食欲旺盛でしたからね。でも、当時のラグビー部は先輩の言うことは絶対で、買い物に行かされたり、理不尽なことがたくさんありました。しかし僕は、そんなことに負けないぞと部活に取り組んだことで根性が鍛えられ、同級生との一体感も生まれ、その後の人生の基礎を築けたと思っています。

高校卒業後、ディスコで輝いていたDJの仕事に憧れて見習いとしての生活がスタートする。

専門学校へ進学してディスコへ初めて行ってみて、場を盛り上げているDJの姿に憧れ、店に頼んでDJ見習いとして雇ってもらいました。DJの世界も、縦社会で厳しかったですが、ラグビー部で鍛えられた根性で乗り越えられました。当時は給料が安かったですが、店でお客さんに提供していたフリードリンク、フリーフードでおなかを満たしていました。

その後、DJとして独り立ちし、日本のアーティストやアイドルがユーロビートをカバーする際のサウンドクリエーターの仕事も始めました。今だったら、ノートパソコンとソフトがあれば簡単にできますが、当時はいろいろな機材を購入する必要があったため、借金生活で苦労しました。そのため食事は、相変わらずディスコに並んだフリーフードで、店長がたまに連れて行ってくれる焼き肉屋が夢のような世界でした(笑)。

その後、ダンス&ボーカルグループTRFのDJ&リーダーとして人気を博し、生活は一変する。

TRFはアッという間に売れて、音楽でスターになりたいという夢がかない、仕事はかなり忙しくなりました。また、DJの仕事は時間が不規則で夜が一番元気なので、夜から朝までレコーディングをしていましたが、ここでも高校時代にラグビーで鍛えた体のおかげで頑張れました。仕事がどんどん入ってくるのがうれしくて、休むことは考えていませんでした。

〈左〉たまに頭痛があるくらいで自覚症状がなかったというDJ KOOさんは、開頭クリッピング術による手術を行った。〈中央上〉が手術前で、脳の動脈がこぶのように腫れ(矢印)、視神経を圧迫して失明の恐れもあり、破裂したら助からないかもとも言われた。脳動脈瘤の根元を裂き、〈右〉のクリップで挟み、その部分を塞いでいる。この手術により一命を取り留め、その後の検査〈中央下〉でも再発はしていない。(写真提供:DJ KOO)

病気後は、朝から栄養バランスを考えた食事をすることを心がけているDJ KOOさんのある日の朝食。鯛ご飯、あおさの味噌汁、菊芋のチップサラダ、あかもく、メロカマ西京焼き、タン塩と菊芋などのソテー、菊芋ごまサラダ、ほうれん草の白あえ。(写真提供:DJ KOO)

人生を手術して生活習慣も改善

2017年にTV番組の企画で受診した人間ドックで脳動脈瘤が見つかり、手術を受けることになる。

たばこも吸わなければ、酒も飲まないし、体力に自信があったため健康診断を受診したことはありませんでした。それがTV番組で、人生初の人間ドックを受診したら、なんと脳動脈瘤が見つかったのです。結果を聞いたときは「まさか自分が……」とショックで、何も考えられませんでした。番組終了後、妻に電話でそのことを伝え帰宅すると、妻と娘がインターネットで脳動脈瘤のことを一生懸命に調べてくれていました。家族で話し合った結果、手術を受ける決断をして、番組で診断してくれた上山博康先の札幌禎心会病院を訪ねました。そこで先生から、すぐに開頭クリッピング術での手術をしたほうがいいとアドバイスされました。と同時に、先生が「私は病気の手術をするのではなく、DJ KOOさんの人生を手術するのです。今まで通りの人生を続けられる手術をします」とおっしゃってくれたので、先生にすべてを託すことにしました。そのおかげで、現在も元気に過ごせていますが、手術後に全身麻酔が切れたときの痛さは、想像を絶するものでつらかったです。でも、家族がそばにいてくれたので乗り越えることができ、家族への愛情がより深まりました。

DJ KOOさんは、自身の経験から生活スタイルの改善とともに、現在は早期発見、早期治療の大切さを多くの人に伝えることをライフワークとしている。

病気が発覚するまでは、好きな物を好きな時間に食べていましたが、手術後はなるべく規則正しい時間に食事をして、最低でも野菜を2品目必ず食べています。また、甘い炭酸飲料ばかり飲んでいたのもやめて、水や炭酸水、無糖の紅茶を飲んだりしています。そして以前は、深夜に仕事が終わり2〜3時間後に再び仕事というときはずっと起きていましたが、今は少しでも時間があれば睡眠を取るようにして体を休ませています。また、体を動かすために週に2、3回は30分くらいのウォーキングをしています。そのおかげで、今年DJ生活45周年を無事に迎えることができました。ぜひ、読者の皆さんも病気の早期発見、早期治療のために健康診断や人間ドックを定期的に受診してください。

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ヘルシスト 291号

2025年5月10日発行
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