医学 特集 多様な性 「性」の違いを考慮する認知症の医療と介護 認知症の発症には遺伝子や性ホルモンなどさまざまな条件が関わっており、その確かなメカニズムは解明されていない。しかし医療の現場では、認知症には男性と女性の間に違い、すなわち性差があることが知られている。例えばアルツハイマー型認知症の発症率は、女性が男性の約2倍と高く、患者数も多い。介護の現場でも、性は多様であることが認識されるようになり、性的マイノリティへの配慮も意識されつつある。
医学 特集 多様な性 喘息は女性のほうが重症化? 免疫にも「性」がある リウマチや膠原病などの自己免疫疾患の発症率は、女性のほうが高いことが、統計データによって明らかにされている。さらに気管支喘息も女性のほうが有病率や重症度が高くなる傾向にある。なぜか? 性ホルモンとの関連性がまずは頭に浮かぶが、実は、アレルゲンが接触した段階から違いは出てくるという。免疫応答をつかさどる細胞には「性」があり、それが病態の差につながっている。
医学 特集 多様な性 性差医学に基づく薬の研究と安全性の追求 一般的な市販薬の「用法・用量」には、男性と女性の区別はないのだが、処方箋を必要とする処方薬には、男女で用量などに差があるものもある。また医薬品の開発では、不整脈の副作用の試験を必ずするのだが、性ホルモンが不整脈に関与していることから、副作用による不整脈の重篤度はおのずと男女の差が出てくる。そのため、性差医学の知見に基づく薬物治療の研究や安全性の追求が進んでいる。