怪我をしない体づくりのため
カロリーよりも栄養バランスを大切にしています
小学生時代に高校野球に憧れ、甲子園出場を夢見て野球を始めた片岡安祐美さん。小さい頃から好き嫌いはなく、野菜が大好きで、高校時代は1日6食という生活だったという。そして指導者となった現在は、カロリーを気にするよりも栄養バランスを重視した食生活を送るように選手たちを指導している。
女性野球選手として知られている片岡安祐美さんに、まずは野球との出合いについて伺った。
学校の野球部に入部して、私の野球人生は本格的にスタートしました。当時の夢は、甲子園での全国高等学校野球選手権大会に出場することだったので、日本高等学校野球連盟の規定で女子選手は出られないと知ったときは本当にショックでした。でもそのときに、自分が甲子園でプレーするのではなくて、私が入部している高校の野球部が甲子園に出場できれば自分の夢は叶う、と考えを切り替えたのです。それで、地元熊本の古豪で甲子園出場経験のある県立熊本商業高等学校に進学し、野球部に所属しました。公式試合には出場できませんでしたが、監督が相手チームと交渉して女子選手の出場を認めてくれた場合の練習試合には出場できました。私が所属していたときの熊本商業は、春の大会は地方大会で準優勝、夏は同ベスト16が最高成績で、甲子園には行けませんでしたが、いい思い出はたくさんあります。練習メニューを考えたり、ミーティングで発言するなどして、選手と監督のパイプ役をしていましたので。
野球の練習だけではなく、体を大きく、強くするために高校時代は1日に6食は食べていたという。
実は、小さい頃は食べるとすぐに戻してしまう体質だったので、心配した両親が3歳からスイミングスクールへ通わせたのです。そうしたら、どんどん体が強くなっていき、小学生時代には大人と同じ量のごはんを食べていました。高校の野球部時代には、家で朝食を食べてから朝練に行き、練習が終わって授業が始まる前におにぎりを1個食べ、昼食、放課後の練習前と後にもおにぎりを1個ずつ食べ、自宅に帰ってから夕食と、1日6食という食生活でした。
私は小さい頃からおやつにお菓子は食べず、おにぎりを食べていたので、元々食事の回数は多かったと思います。食べ物の好き嫌いはなく、肉より魚、魚より野菜、と野菜が大好きなんです。
資格取得で選手の食事指導も大切にする
萩本欽一さん率いる社会人野球クラブチームに入団してから、練習量や食生活はどのように変化していったのだろうか。
茨城ゴールデンゴールズ入団とともに大学へも進学し、チームのグラウンド近くで一人暮らしを始めました。私が入団時のコーチは元プロ野球選手たちで、練習内容の量と質は高校時代と大きく違いました。平日は16時から22時までが練習時間だったのですが、例えば午前中に大学の授業がない場合は、チームの同級生とグラウンドで練習してから授業へ行き、夕方からの練習にも参加と、野球漬けの毎日でした。
一人暮らしを始めたので、食事は自分で作って食べていましたが、バランスを考えるのがなかなか難しかったですね。当時は、後援会の方々が週に2回、近くのそろばん教室の2階で選手たちに食事を振る舞ってくれていたのですが、練習時間を割いてごはんを食べるのも大事だけれど……となり、あるときからお弁当を作ってグラウンドに持ってきてくれるようになりました。本当に地元の方々の応援には感謝しています。
2011年に監督に就任し、選手の指導をするようになり食事の大切さを改めて感じている。
監督に就任してすぐの頃に、夕飯はパスタだけ、カップ麺だけということをある選手から聞き、必要な栄養素をバランス良く摂りなさいと指導しました。でも、自分の経験だけで指導するよりもきちんと勉強したほうがいいと考えて、2015年にジュニア・アスリートフードマイスター(現アスリートフードマイスター3級)の資格を取得しました。確かに、食事が肉食系のほうが選手の体は大きくなりますが、バランス良く食べたほうが怪我をしなくなります。だから、試合で勝つには食事のトレーニングも必要だと痛感しています。
最後に片岡さんから、現在の食生活と読者へ向けてのアドバイスを頂いた。
現在は、指導者として選手にいろいろなことを伝えるための練習が中心になっているので、体を動かすよりも頭を使っている時間のほうが長いかもしれません。夕食は主人と一緒に食べているのですが、好き嫌いが多い偏食家で肉が大好きなため、バランスの良い食事になるよう必ず最初にサラダを食べてもらっています。それから小鉢の副菜、メイン料理を食べることで、栄養バランスが整ったメニューとなるように心がけています。私は、栄養バランスがいちばん大切と考えています。皆さんも、食事はバランス良く摂るようにしてください。