気になる人の「気にする食卓」第66回 宮前真樹

構成/編集部  写真/細田 忠

HEALTHIST INTERVIEW

宮前真樹(みやまえ・まき)

(料理研究家)

1973年1月16日生まれ、東京都出身。1989年にアイドルグループ「CoCo」の一員として芸能界にデビューするが、本格的に食を学ぶために30歳で引退。料理学校で学ぶと同時に、食に関する資格を多数取得する。2010年、東京・表参道に「M.Nature」をオープンし、現在は料理研究家として幅広く活躍中。

食事は1週間単位でバランスを考え
腸を大切にしています

1989年にアイドルグループ「CoCo」の一員として芸能界デビューした宮前真樹さんは、不規則な生活と食事が続き、若い頃は体重の増減や肌荒れに悩まされた。そのときの体験から食べた物が体をつくることを実感し、食についての意識が変わり、現在は食の大切さを幅広い人に伝える料理研究家として活躍している。

宮前真樹さんに、まずは幼少期から芸能界で活躍していたときまでの食生活について聞いた。

子どもの頃は、自宅で大皿に盛った母の料理を家族で取り分けて食べていました。嫌いな食べ物は特になかったのですが、食が細かったため、おかずを少しずつ食べたら、おなかがいっぱいになっていました。でも、16歳で芸能界にデビューすると食生活が一変しました。楽屋に行くとシュークリームやケーキなどのスイーツが置いてあり、食事もピザやお弁当が中心になったのです。すると、食のバランスが崩れたため、体重の増減と肌荒れに悩まされるようになりました。首から下の肌荒れがひどかったものの、幸い顔には出ていなかったため仕事は続けられましたが……。

それで23歳のとき、雑誌で見かけた断食施設に夏休みを利用して1週間滞在し、施設では食の座学にも参加しました。これがきっかけで、食について真剣に考えるようになり、時間があるときは自分でお弁当を作って仕事場へ持参していました。でも、芸能界の仕事は時間が不規則で、食事を規則正しく食べるのも難しくて、体だけではなくメンタルも乱れるようになってしまったのです。それで精神的にもつらくなり、自分の生活を体も含めてリセットしようと考え、30歳で芸能界から引退しました。

宮前さんのある日の朝食は、青菜と豚バラ炒め、レンコンとパプリカの金平、ニンジンラペ、茹でオクラ、だし巻き卵、納豆、自家製の梅干しと漬物。(写真提供:宮前真樹)

芸能界引退後は洋菓子作りを本格的に勉強するようになり、食育インストラクターの資格を取得する。

それまで趣味でケーキ教室に通っていたのですが、本格的にケーキ作りを学びたいと思いフランスのル・コルドン・ブルー東京校に入学しました。その後、ボランティアで小学校へ行って本の読み聞かせをやるようになり、子ども向けのケーキ教室をやりたいと考えるようになったのです。ちょうど食育基本法ができたこともあり、子どもたちに教えるならば食育の勉強をしっかりしなければと思い、食育インストラクターの資格を取得しました。

愛犬の食事も同じ食材で作っています

子ども向けの食育教室をきっかけに、少しずつ料理関係の仕事をするようになり、2010年には自分のお店をオープンする。

料理関係の仕事を少しずつするようになったとき、友人からデパートで催事をやるので手伝ってほしいと言われたのです。それでデパートの地下に出店したオムライスの店のレシピを考え、店頭に立って実演販売もやりました。そのときに、お客さんから「お店はどこにあるのですか?」とよく聞かれたので、自分のお店があったほうがいいのではと考えるようになり、2010年に東京の表参道にカフェレストラン「M.Nature」をオープンしました。素人が始めた店なので、最初は手探り状態でしたが、少しずつ自分のやりたい方向も見えてきてメニューも増やしていきました。今年で11年目になるのですが、5年目くらいからはお店でお菓子教室を開催したりしています。

犬の管理栄養士、ペット食育士1級の資格を持つ宮前さんは、愛犬エルマーのごはんにも力を注ぐ。同じ材料を使い、この日は人用が豆乳スープに半熟卵(左)、犬用は豆乳スープ風に。(写真提供:宮前真樹)

では、お店も経営する宮前さんの普段の食生活はどのような感じなのだろうか。

私が自宅で作っている食事は基本、和食です。卵や野菜を使った料理が中心で、朝は何種類かのおかずをワンプレートで出しています。小鉢も添えて5種類くらいになるので、主人はいろいろなおかずを少しずつ食べられるため満足感があり、ドカ食いをしなくなったと言ってくれています。また、大型犬のワイマラナーを飼っていて、犬のごはんも自分たちの食材と同じ物を使って作っています。肉と野菜をバランス良く食べられるようにメニューを考えるので、犬を飼ってから食事のバランスはより良くなったと思います。

最後に宮前さんから、食生活について読者へのアドバイスをいただいた。

3日間連続で食べすぎたら、その後の2日間は少なめにするなど、1週間単位で食事のバランスを考えるようにしたほうがいいと思います。あと私は、体を冷やさないように温かい物を食べ、発酵食品も取り入れて腸を大切にしています。

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ヘルシスト 266号

2021年3月10日発行
隔月刊

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