気になる人の「気にする食卓」第76回 加藤紀子

構成/編集部  写真/細田 忠

HEALTHIST INTERVIEW

加藤紀子(かとう・のりこ)

(女優・タレント)

1973年1月30日生まれ、三重県出身。1992年に歌手デビュー。女優としてドラマ、CM、ラジオ、バラエティー番組などでマルチに活躍。TBS「ふるさとの未来」、NHK-FM「トーキング ウィズ 松尾堂」にレギュラー出演中。みえの国観光大使、やまがた特命観光・つや姫大使、お豆腐親善大使なども務めている。

自分の食べたい野菜を畑で作りながら
体を動かすことが健康の秘訣

若い頃は料理を楽しむというよりも、生きていくために料理をしていたという加藤紀子さん。でも最近は、番組への出演をきっかけに興味を持った野菜作りにはまっており、自分の食べたい物を畑で育てて、料理を楽しみながらおいしく食べているという。しかも畑では、単純に作業をこなすのではなく体を動かすことを意識している。

高校生のときに東京で一人暮らしを始めたという加藤紀子さんに、当時の食生活について伺った。

私は三重県鈴鹿市出身で、両親が飲食店を営んでいたこともあり、幼少期から食生活には恵まれていました。特に母が作ってくれる料理が大好きで、いつも残さずに食べていました。でも、家と店はクルマで40分くらいの距離にあったので、店を手伝うことはありませんでした。それで高校生のときに、歌手を目指してオーディションを受けるようになり、東京で一人暮らしを始めて自炊をするようになりました。しかし当時は、インターネットもなかったため、母に料理の作り方を手紙で教えてもらったりしていたのですが、その頃は料理を楽しむとかおいしさを追求するとかではなく、生きていくために作っていたという感じですね。

その後、「桜っ子クラブさくら組」のオーディションに合格してテレビに出るようになると、歌手デビュー、CM、クイズ番組などへの出演が次々に決まり、気が付いたら休みもない状態になっていました。でも仕事に行くと楽屋にお弁当が用意されていたので、食事には困りませんでした(笑)。

仕事が忙しい中でも、年に1回は少し長めの休みを取って、海外旅行でリラックスしていたという。

当時の楽しみは、海外旅行でいろいろな国へ行って文化に触れたり、食事をすることでした。その中でフランスに興味を持つようになり、言葉を覚えればもっと興味が広がるのではないかと思うようになりました。留学を仕事に生かしたいという気持ちはなく、年齢的に20代最後の年だったこともあり、30歳以降の自分に自信を持ちたくてフランスへ2年間留学しました。フランスでは節約生活をしていたので、基本自炊だったのですが、スーパーへ買い物に行っても言葉が通じないことのもどかしさがよくわかりました。日本で生活していたら経験できないこともいろいろと体験できたので、自分の人生経験を豊かにするための時間をフランスでは過ごせたと思っています。

〈左〉テレビ番組への出演をきっかけに始めた野菜作りは10年目を迎え、自分が食べたい物を中心に作っている。また畑仕事では、ストレッチなど体を動かすことを考えながら作業をしている。〈右〉エダマメの一部を収穫せずに熟成させ、枝に付いたさやが茶色くなったダイズを使って豆腐作りにも挑戦中。(写真提供:加藤紀子)

畑で作ったダイコンの葉をごま油、ジャコ、かつお節などで炒めて、炊きたてご飯のお供にして食べたりしている。(写真提供:加藤紀子)

旬の野菜を作って食べるのが幸せ

番組への出演をきっかけに野菜作りに興味を持ち、自分で畑作業を10年も続けている。

番組で1年間季節の野菜をいろいろと育てたのをきっかけに、畑仕事に興味を持ち、番組で知り合った農家さんから畑を借りるようになって10年がたちました。畑では基本的に、そのときに自分が食べたい野菜を作っていて、例えば鍋の時季ならばハクサイ、シュンギク、ネギ、ダイコン、カブなどですね。畑は、ほぼ無農薬でやっているので、とても手間がかかりますが、週に1回は畑へ行って草むしりなどの作業もしています。でも、旬の野菜を自分で作って食べるのは本当においしくて幸せな気分になります。

また最近、豆腐作りにも興味があり、豆腐マイスターという資格も取得しました。それで今年の夏は、育てたエダマメをすべては食べないで一部をダイズにして、そのダイズから豆腐を作りたいと思い挑戦しています。自分が育てたダイズで、おいしい豆腐が食べられたら幸せだなと思っています。

野菜作りを通じて体を動かすことが、加藤さんの健康法の一つだという。

コロナ禍のため、世の中は大変なことも多いですが、平常心で乗り越えられているのは足の裏に土があるからだと思っています。畑での土の感触やにおいを感じるだけでなく、土の上で踏ん張ることにより体のバランスがうまくキープできているんでしょうね。畑仕事をしているときも、単純に種まきや収穫作業をするのではなく、この姿勢だったらストレッチになるなとか、筋肉を使っているなということを意識しています。私は運動好きではないので、畑作業で体を動かすことがいい運動になっているようで、太陽を浴びながら畑作業をした日は、快適な睡眠を得ることができたりしています。

この記事をシェアSHARE

  • facebook
  • line
  • mail

掲載号
THIS ISSUE

ヘルシスト 276号

2022年11月10日発行
隔月刊

特集
SPECIAL FEATURE

もっと見る