気になる人の「気にする食卓」第73回 グッチ裕三

構成/編集部  写真/細田 忠

HEALTHIST INTERVIEW

グッチ裕三(ぐっちゆうぞお)

(エンターテイナー)

1952年2月27日生まれ、東京都出身。1978年にモト冬樹、ウガンダらとコミックバンド「ビジーフォー」を結成。1992年からソロ活動を開始し、1998年10月からは料理のジャンルにも進出。エンターテイナーとして、幅広い世代から人気を博している。

年齢に応じて食生活は変化していき
現在は体に良い食材を大切にしている

コミックバンド「ビジーフォー」を結成し、抜群のユーモアセンスで独自のジャンルをつくり上げ、ものまねブームの立役者としても活躍したグッチ裕三さん。食べ歩きが大好きで、味の記憶が残るという特技を生かして、テレビで料理の腕前も披露していた。現在は、妻のアドバイスもあり、体に良い食材を使った食事を心がけている。

料理愛好家としても知られているグッチ裕三さんに、まずは料理に興味を持ったきっかけを伺った。

両親が共働きだったので、祖母が食事の用意をすることが多かったのですが、ひじきやきんぴらごぼう、ナスの煮物などが中心で、嫌で嫌で仕方なかったのです。今考えれば体にいいものばかりだったのですが、子どもは肉とかを食べたいですからね。それで仕方なしに、小学校2、3年の頃から自分で肉を焼くなど料理をするようになりました。中学時代は、電車で通学していた学校帰りに、食いしん坊の友達とデパートのレストラン街に立ち寄り、寿司やスパゲティ、焼きそば、ラーメンなど、いろいろなものを食べ歩くのが楽しみでした。校則でデパートへの立ち寄りは禁止されていましたが、それを破ってでも食べたいというくらい魅力的な物が多かったのです。家では、祖母が「ばあちゃんの味噌汁が一番おいしいのよ」とか、母が「母さんのカレーは日本一なのよ」とか言っていたのですが、寿司屋で飲んだ味噌汁やカレー専門店のカレーのほうが断然おいしいんですよ。それで、本気で頭にきて「冗談じゃない、俺はだまされていた」と思い、自分でもっとうまいものを作ってやろうとなったのです。

中学時代に外で食べた料理を自分で作るようになったとき、ある特技が生かされたという。

食に目覚めた僕は、外でおいしいものを食べたら自分の感覚で再現してみようと、家で作るようになりました。料理は味の記憶というように、食べて感激した味の記憶を頼りに、自分一人で失敗を繰り返しながら作っていました。それで、お店と同じような味を再現できたときにはうれしかったですね。ただ後からわかったことなのですが、僕は味の記憶が残るんです。今でも子どもの頃に食べた味に対して、あれには鶏ガラが入っていたはずだな、あれはトマトソースが違っていたなとか、分析することができるのです。未だに、子どもの頃に食べたラーメンの味をはっきりと覚えていたりしますからね。

食べ歩きが大好きで、いろいろと食べたおいしいものを再現しては、料理を友達に振る舞っていた。

仕事をするようになり、テレビ番組の収録などで深夜遅くに終わっても、必ず何か食べに行っていました。寿司屋に行くことが一番多くて、年間200回以上行っていた時期もありました。とにかく僕の楽しみは食べ歩きで、少なく見積もっても延べ5000軒は行っていますね。その味の記憶で、いろいろな料理を作っては、友達を自宅に招いて振る舞っていたら、皆から「店をやったほうがいいよ」と言われたのです。それで友達の協力もあって、2001年に店を出しました。テーマは、自分が芸能人で食いしん坊だったので、芸能人がワガママを言って何でも食べられて好きに過ごせる、自分が行ってみたい店でした。特に宣伝はしてなかったのですが人気を呼び、友達から電話がかかってきて、「おまえの店の予約が取れないんだけど、なんとかしろよ」と言われることもありました。でも、僕自身が店へ行きたくても満席で入れなかったりしたので、「勘弁してくれ、俺も行けないのだから」と断っていました。そんなうれしい悲鳴を上げている時期もあり、本当に楽しかったのですが、2018年に閉店しました。

ある日の夕飯は、毎日1回は飲むという野菜スープ、ラムチョップのハーブロースト、マッシュルームのガーリックソテー、ミニトマト、ピスタチオ入りポテトサラダ、レーズン&イチジク入りライ麦パン。(写真提供:グッチ裕三)

体に良い食材を中心にした食生活

好きなものを食べていたグッチ裕三さんだが、現在は妻のアドバイスから体に良い食事を心がけている。

先ほども言ったように、僕は食べ歩きが大好きで、外食が多くて食べたいものを食べてきました。でも、60代になるとやはり体にガタが来るようになり、妻から体にいいものを食べましょうと言われ、日本中から体にいいといわれる野菜を取り寄せるようになりました。その野菜で作った妻のスープは絶品で、うちの定番となっており、1日に1回は必ず野菜スープを飲んでいます。タマネギ、トマト、ニンジン、ビーツ、カボチャなど、14~15種類の野菜を30分くらい煮込むのですが、1回に1週間分くらいを作るため、ブレンダーでペースト状にして冷凍保存しておきます。それで食べるときに人数分を温めて、牛乳、ハチミツ、塩で割って仕上げるのですが、整腸作用があり体にとてもいいのです。

朝食は僕が麺料理を作っており、出汁からしっかり取っためんつゆに、体にいい野菜や海藻、キノコを入れています。出汁の効いためんつゆを飲み干すと、とても幸せな気分になります。また、同じものは作らないと決めているので、日本そば、うどん、中華麺、素麺、スパゲティなど、20種類以上の麺を常に保管し、同じ味付けでも麺を変えたりしてアレンジしています。

現在は、コロナ禍のため1日30分くらいランニングマシンで運動しているという。

僕はバンドマンでもあるので、定期的にステージをやっていたこともあり、特に運動をする必要性は感じていませんでした。というのも、練習を定期的にやっていましたし、ステージの1週間前から2日に1回は模擬ステージを1~2時間やると汗びっしょりになっていましたからね。でも、コロナ禍でバンドの仕事がなくなり、模擬ステージをやる気力も失せてしまったため、運動の必要性を感じ、自宅にあったランニングマシンで1日30分くらい運動するようになりました。以前からマシンはあったのですが、ほとんど妻が使っていて、僕は冷やかし程度でたまに5分くらい使っていただけなのですが。今では毎晩、夕飯後に21時くらいからテレビを観ながら30分は運動しています。

最後に読者への、自分の経験を生かした食生活アドバイスを伺った。

年齢とともに、体が食べ物に敏感に反応するようになると思います。若い頃は暴飲暴食をしても平気で、添加物や刺激物も気にならなかったのに、ある時から体が受け付けなくなったと感じるはずです。それは摂取しないほうがいいというサインなので、素直に体にいいものを食べるようにしてください。

この記事をシェアSHARE

  • facebook
  • line
  • mail

掲載号
THIS ISSUE

ヘルシスト 273号

2022年5月10日発行
隔月刊

特集
SPECIAL FEATURE

もっと見る