スポーツの世界で活躍するには
適切な栄養摂取が重要となる
2007年、ラグビーワールドカップのカナダ戦で終了直前に同点ゴールキックを決めて、日本代表のワールドカップ連敗記録を13で止めた大西将太郎さん。子どもの頃は体の線が細くて、大きくなるにはどうすればいいのか食に興味を持ち、栄養管理について学んだことが、後のラグビー選手としての活躍へつながったという。
子どもの頃からスポーツ少年だったという大西さんに、まずは当時の思い出を語ってもらった。
スポーツが大好きで、子どもの頃は興味があることは何でもやってみたいと、サッカー、ソフトボール、水泳、バスケットボール、バレーボール、卓球、そしてラグビーのスクールに通っていました。そのため学校が終わった後は、スポーツの習い事ですべて埋まっていました(笑)。でも小学生時代は、モヤシ、つまようじといわれるくらいに細くて、どうすれば体重を増やせるのだろうかと考えながらごはんを食べていましたが、全然大きくなりませんでした。それで中学校進学時にラグビー1本に絞り、啓光学園のラグビー部に入部し、高校3年時には全国大会で準優勝して、高校日本代表にも選出されました。でも当時の体重は70㎏くらいで、ラグビー選手としては細いほうでした。そのため海外のチームと試合をすると、後半には体重差で体が疲弊してしまい、世界で戦うには体をもっと大きくしないとダメだと痛感させられました。
日本代表で食や栄養管理に関して学んだことが、その後のラグビー選手生活に大きく役立っていく。
同志社大学進学後は寮生活で、食堂がなかったため寮の仲間と協力して、鍋料理などを作って食べていました。中学時代から料理は好きでしたが、大学時代の自炊生活で料理の腕はかなり上がりましたね。そして、ウエイトやトレーニングに対する考え方が大きく変わったことで、大学1年のときに体重は約15㎏増えました。やはり体重が増えると、パワーと耐久力がアップしてプレーの幅も広がり、大学4年生で日本代表に初選出されました。代表では栄養講習があり、管理栄養士の方にいろいろと教えてもらったことで、今の自分には何が必要なのか、どのような栄養素を摂ればいいのかを学ぶことができ、食事やトレーニングは量よりも質を大切にするようになりました。
大西さんは、順風満帆のラグビー選手生活を送ったわけではなく、代表落ちのつらい時期も経験している。
日本代表では10試合目まで順調でしたが、11試合目に行くまでに実は4年半くらい間が空いているのです。その間は、絶対に日本代表へ返り咲こうと、自分を見つめ直すため海外へ留学し、食事、トレーニング、コミュニケーション能力とラグビーに必要なことをすべて学び直しました。しかも、身を崖っぷちに置くためにプロとなり、ラグビーで生活できるように努力を重ねたのです。そして、再び桜のジャージーを着て2007年のラグビーワールドカップに出場し、戦うことができました。
子どもの健康を考えた食事を作っている
現役引退後、自宅にいるときはそれまでに培った知識を生かして、家族の食事を作っているという。
現役時代は単身赴任が多く、家族で食事をする時間がほとんどなかったため、引退後は自宅にいる限り僕が夕飯を作っています。料理を作るのは好きで、栄養バランスは現役時代にしっかりと学んでいるため、子どもの成長を考えたメニューが中心です。しかも、子どもの嫌いな物も食べさせたいので、例えばキノコを小さく刻んで分からないように料理へ入れるなど工夫をしています。
最後に、大西さんに現在の食生活や運動面で気をつけていることを伺った。
引退後、体重は2㎏くらい増え、筋肉も減っているので、週に2〜3回はジムへ行くようにしています。ウエイトトレーニングをして、1時間はランニングマシンで走るようにしているのですが、体を動かした以上に食欲があって食べすぎてしまうことが多いです。そのため自分で作るときは、栄養バランスを第一に考えるようにしています。皆さんも食事では、量よりも質を大切にして、食べた分を消費する運動を心掛けるようにしてください。