生物 特集 触覚の世界 触覚は視覚や聴覚に影響し「情動」を刺激する 触覚は他の感覚と異なり、自分の中に生まれたパーソナルな感覚として気持ちに作用するという。例えば美しい紅葉を見ても、きれいと感じる作用が自分の中で起きていると考えることもない。一方、ペットをなでると気分が落ち着き、見るだけでも癒やされるようになる。これは、触覚と視覚が刺激し合い、脳で感じるようになるからだ。このように、触覚には情動を刺激する要素があるのだという。
生物 特集 触覚の世界 赤ちゃんと高齢者 —— 触れ合うことの重要な意味 泣いてぐずっている赤ちゃんをお母さんが抱っこするとやがて泣きやむ。それは触れ合いによって副交感神経が活性化してリラックスするためで、さらにハグなどがコミュニケーションツールとして機能し始めている可能性があるという。肌と肌の触れ合いなど、触覚を刺激することは年齢に関係なく大切で、特に高齢者にとっては体を動かすことはもちろんのこと、皮膚を刺激することも健康維持に効果がある。
生物 特集 触覚の世界 触覚の再現で浮かび上がる 触感がつくる心的イメージ ソーシャルディスタンス、グータッチなど、新型コロナウイルスによって接触が制限された社会で、触覚はこれから私たちの生活にどのような意味を持ってくるのだろうか。触覚の再現技術の研究も進んでいる中、触覚が脳内で処理され実感として生み出されるメカニズムを解明していくと、実体験と触感は“心”を介して切り離せないものだということが分かってくる。
生物 特集 触覚の世界 〈巻頭インタビュー〉わずかな「違い」をも感知する 触覚の不思議な奥深さ 触覚は、自己防衛のために欠かせない知覚として進化の早い段階で生物が獲得した、五感の中でも原始的な感覚だ。わずかな「違い」をも感知できるなど、生物学的視点から見ると、とてもユニークな特徴を持つ。身体的には、触れたり触れられたりすることによって、気持ちが癒やされ、リラックスできたり、また、性差や文化的背景などにも影響されるなど、なかなか奥深い感覚なのである。