気になる人の「気にする食卓」第69回 西川貴教

構成/編集部  写真/石川啓次

HEALTHIST INTERVIEW

西川貴教(にしかわ・たかのり)

(ミュージシャン)

1970年9月19日生まれ、滋賀県出身。1996年5月、ソロプロジェクトT.M.Revolutionとしてデビューし、「HIGH PRESSURE」「WHITE BREATH」「HOT LIMIT」などの大ヒット曲を連発。2008年に初代「滋賀ふるさと観光大使」に任命され、2018年からは西川貴教としての音楽活動も本格的に開始した。

急激なダイエットは逆効果
毎日の積み重ねで楽しむことが大切

2021年、T.M.Revolutionデビュー25周年を迎えた西川貴教さんは、ツアー中に脱水症状を起こしたことをきっかけに、ジムに通いだしてトレーニングを開始。自分に適したトレーニング方法を見つけ出すとともに、食事も大幅に見直しをして、現在はデビュー当時よりも身体が疲れにくくなったことを実感しているという。

滋賀県出身の西川貴教さんに、まずは子ども時代の食生活について伺った。

両親が共働きで、母は帰宅後に夕飯を準備していたので、手早くできておなかがいっぱいになる料理が中心でした。母は、スイカ、寿司、すき焼きと「す」が付く食べ物が好きで、おめでたいことがあると、すき焼きをよく食べていました。地元の近江牛を使っていたからなのか、地元の味というとすき焼きを思い出します。また、身体を動かすことが好きで、小学生時代は剣道・柔道、中学・高校時代はハンドボールをやっていたのですが、身体はきゃしゃで、思ったように大きくならないことに悩んでいました。

その後、音楽に目覚め1996年にT.M.Revolutionとしてメジャーデビューし、ソロでライブ活動を行うようになったが、体力面の問題に直面して悩んだという。

当時の体重は42㎏くらいで、1年間で約100本という全国規模の長いツアーをこなしていたのですが、途中で脱水症状を起こして、体重は30㎏台まで落ちていました。お客さんに120%のパフォーマンスを届けたいのに、それができないことが悔しくて、いろいろな方に相談すると、それは身体の中に水分をためておくことができていないからガス欠状態になっているのではないか、と言われたのです。それで30歳前後からジムへ通い始め、トレーニングで筋肉量を増やすことで、水分をためておくことができるようになり、脱水症状を起こすことはなくなりました。その頃、ミュージカルや舞台など音楽以外の仕事もするようになり、それまでと全然違った歌い方や動きを要求され、身体をしっかりとつくっていくことも大切だったのです。

しかし食事は当時、自分のパフォーマンスを引き出すためには一日1食がいいと考えていたという。

舞台では、昼と夜と一日2公演を行うことが多いのですが、同じテンションでいかにクオリティを保つかが大切になります。その中で、食事の摂り方も考えるようになり、僕は身体の中に物が入っていると良いパフォーマンスができない気がしていたため、夜のみの一日1食の時期がしばらく続きました。そのほうが仕事に集中できましたし、僕たちの仕事は昼からスタートして深夜まで続くことが多いのですが、空腹感が苦になることはありませんでした。でも、身体づくりをする中で食事の摂取方法もしっかりと見直すようになりました。

①朝食は和食が多く、魚、味噌汁、サツマイモなどの献立が中心。②自宅で昼食を食べるときは馬肉もメニューに入れることが多い。また、ゆで卵の白身は高たんぱくなので毎日食べている。③午後から仕事で外出する際は弁当を持参する。エビは低脂質ながら高たんぱくなのでよく食べるという。この弁当を仕事の合間に約2時間おきに食べ、21時以降は食事を摂らないようにしている。(写真提供:西川貴教)

計算で導き出したトレーニング方法

身体づくりとともに、食事の摂取方法も40代後半から大きく変わっていく。

現在のトレーニングは、ウエイトトレーニングに有酸素トレーニングを取り入れていますが、重要なのは計算なのです。例えば減量期なら、一日の摂取カロリーと代謝で出ていくカロリーを算出し、出ていくカロリーが摂取カロリーを上回れば、体脂肪などは落ちていきます。ウエイトトレーニングでは、やみくもに重い物を持ち上げるのではなく、どこの部位に、どのように集中して負荷を掛けていくのかを考えます。そうすれば、重量は軽くても効果は大きく、怪我をする心配もありません。食事は現在一日4食で、朝食は自宅で食べて、仕事へ行くときには1個当たり約400㎉のお弁当を3個持って出掛けています。お弁当の中身は脂質の少ない肉を入れたりして、20時か21時までに一定間隔の時間で食べています。これが減量期になると、一日6食でお弁当は1個当たり約300㎉になり、約2時間おきに食べるようにしています。血糖値がバラつくと、身体に凄く負担が掛かかるため、一定の血糖値を食事でいかに保ち続けるかも重要になってくるのです。それを続けることで、デビュー25周年を迎えた現在もツアーができ、いろいろな仕事も休むことなくこなせていると思っています。

最後に西川さんから、食事とトレーニングのバランスの取り方についてアドバイスをいただいた。

安易に何カ月で何㎏痩せようと、目標を立てるのはやめたほうがいいと思います。極端なダイエット方法で、数値だけ10〜20㎏落としても必ずリバウンドしますし、基礎代謝を下げると同時に筋肉も落としてしまうので、とても危険な行為なのです。逆に運動量を増やして基礎代謝を上げていけば脂肪燃焼効果の高い、非常に代謝のいい身体にすることができます。そのためにも短期間ではなく、1年、2年、3年などの期間でどういった自分になりたいかを考えていくことが大切だと思います。自分が積み重ねてきた努力が実ったときは、楽しいと思うし、もう少しやってみようとなるはずです。僕自身、デビュー当時よりも疲れない身体になっていることを体感していますし、皆さんも身体と長く楽しく付き合う方法を見つけてください。

年齢別ボディコンテスト「ベストボディ・ジャパン2020日本大会」に出場し、モデルジャパン部門ゴールドクラス(50~59歳)で優勝した。(写真提供:西川貴教)

●T.M.Revolutionデビュー25周年記念公演「T.M.R. LIVE REVOLUTION’21 – VOTE –」の詳細はhttps://tmrv.net/

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ヘルシスト 269号

2021年9月10日発行
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