気になる人の「気にする食卓」第79回 いしかわじゅん

構成/編集部  写真/細田 忠

HEALTHIST INTERVIEW

いしかわじゅん(いしかわ・じゅん)

(漫画家)

1951年2月15日生まれ、愛知県出身。1976年に漫画家デビューを果たし、幅広いジャンルの漫画とともにエッセイや漫画評論、小説などでも活躍する。主な作品には『約束の地』『漫画の時間』『ファイアーキング・カフェ』『吉祥寺キャットウォーク』などがある。毎日新聞朝刊の4コマ連載『桜田です!』は、9年目に入った。

積極的に体を動かすことで
腰痛が改善した経験を教訓にしています

2015年2月から毎日新聞朝刊に、東京郊外の「むさしの町」に住む桜田ファミリーのほのぼのとした日々を4コマ漫画『桜田です!』で描いている漫画家のいしかわじゅんさん。30代前半にひどい腰痛に悩まされたが、体を動かすことで解消された経験から、運動することの大切さを痛感。そして栄養バランスを重視した食生活を送っている。

偏食だった父親を反面教師に、子どもの頃から好き嫌いなく何でも食べていたという、いしかわじゅんさんに当時の食生活について伺った。

母は料理をするのが好きだったのですが、父が好き嫌いの多い人だったため、母は食べさせるための工夫をいろいろとしていました。そんな父親の偏食を見習わないように、母は私にいろいろなものを満遍なく食べさせていたので、嫌いな食べ物は特にありません。東京の大学へ進学して一人暮らしを始めたとき、食事はほとんど外食でしたが、栄養バランスには気をつけていたと思います。

大学卒業後、地元へ戻って就職するも早々に退職をしてしまい、漫画家を目指すことにしたという。

私は愛知県豊田市出身で、大学卒業後は地元へ戻って就職したのですが1年も働かずに辞めてしまいました。それで次の仕事をどうしようかなと考えたとき、昔からよく漫画を読んでいたので漫画家を目指すことにしたのですが、読むのは好きでも漫画はほとんど描いたことがなかったんですよ(笑)。でも、大学時代に漫画研究会に所属していたとき、3学年上の先輩に『沈黙の艦隊』のかわぐちかいじ氏がいて、手伝いで生原稿を触ったりしていたし、知識量はあるので何とかなるだろうと思っていました。それで出版社に持ち込みをするようになり、無事にプロの漫画家としてデビューすることができたんです。

いしかわさんは、30代前半にひどい腰痛に悩まされて、ほとんど動けなくなってしまう。

漫画家になってからは、体を動かすこともほとんどなく部屋にこもって仕事ばかりしていたら、30代前半のときにひどい腰痛になってしまったのです。本当に動けなくなってしまって、いろいろな病院へ行って診てもらったのですが、一向に改善しませんでした。それである鍼灸院へ行ったら、先生から「こういう所へ来るよりも運動したほうがいいですよ」と言われたのです。この言葉がきっかけで、テニススクールやスポーツジムへ入会して運動をするようになったら、半年くらいで腰痛が治まったのです。

この経験から本当に体を動かしてないとダメなんだということを実感しましたね。以来、積極的に運動をするようになり、今でもテニスは友だちと毎週コートを借りてやっていますし、仕事の合間には毎日ストレッチをしています。

いしかわさんの体調を気遣って奥さまが塩分を控えめにした料理を作っているという。この日の夕飯は、ブリとナスの南蛮漬け、菜の花のおひたし、サツマイモとキンカンのサラダ、カブのカクテキ、具だくさんの味噌汁、白米。

栄養バランスを考えた食生活を大切に

毎日新聞朝刊に4コマ漫画『桜田です!』を連載中の、毎日の生活スタイルを伺った。

新聞は毎日発行されていますから、それまでの週刊誌や月刊誌などと仕事のやり方やペースは違ってきますね。現在の生活スタイルは、昼くらいに起きて朝食兼昼食を食べたら外出して、近くの喫茶店などに入ってノートを広げてアイデアをいろいろと描いています。それで、だいたい2、3日分の構成内容を決めていくのですが、最終的な仕上げは毎日自宅で作業をして納品します。

また、東京でのスケジュールにもよりますが、時間があれば月の1週間〜10日間くらいは、趣味のスキューバダイビングがきっかけで部屋を借りている沖縄で生活をしています。沖縄の部屋にも自宅と同じPCセットを置いておけば問題ないので、本当に便利な世の中になったと思います。

忙しい時間を過ごすいしかわさんの生活を支えているのが、栄養バランスを考えた妻の手料理だ。

妻も仕事をしているので、沖縄へは基本的に1人で行っていて外食ばかりですが、東京では100%妻の料理を食べていますね。食事は基本的に昼と夜の2食なのですが、私の健康面のことを考えて普段から野菜を多くしたり、薄味にするなどいろいろと工夫をして作ってくれています。私は好き嫌いがないから出されたものは何でもおいしく食べますし、妻は料理本関係の編集者兼ライターをしているので、料理が本当に上手でおいしいのです。

妻は仕事で携わっている料理本のレシピを自宅で実際に調理したりしているのですが、例えばベトナム料理の本を制作しているときは、ずっとベトナム料理が続いたりすることもあります。料理も国別の特徴がありますので、どんな味がするのかなど毎回楽しみにしています。

最後に、いしかわさんから読者に向けて生活面でのアドバイスを伺った。

私は今年72歳なんですが、体も頭も50代の頃とほとんど変わらないように動くので、好き嫌いなく何でも食べて適度な運動をするという、これまでの生活スタイルが良かったのだろうと思っています。ですから皆さんも、栄養バランスの良い食生活と積極的に体を動かすことを心掛けてください。適度に体を動かしていると体調もいいですし、食事もおいしくなり体重のコントロールもしやすくなりますので。

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ヘルシスト 279号

2023年5月10日発行
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