社会 特集 ペプチドの世界 ペプチド合成が可能にする千差万別な「ものづくり」 1950年代に確立されたペプチド合成はその後も進化を遂げ、さまざま材料や製品開発、創薬など「ものづくり」に応用できるペプチドが数多く開発されるようになった。ペプチドで合成した金粒子を使ってがん細胞を特異的に熱して死滅させる光温熱療法や、再生医療に用いる細胞の培養界面の形成、ウイルスや爆発物を検知するセンサーなど、ペプチド合成が可能にする「ものづくり」はバラエティに富んでいる。
栄養 特集 ペプチドの世界 栄養・味覚・生体調節——注目される多彩な機能 食品として摂取するペプチドはさまざま化合物から構成されており、食品の機能である「栄養・味覚・生体調節」に関わる多彩な機能を持つ。また、タンパク質やアミノ酸と比較して吸収率が高く、例えば、筋肉をつくる最も効率的な栄養源としても知られる。おいしさという食べ物の重要な要素にも関与、さらに、血圧や糖代謝などの生体調節機能を備えるペプチドなども研究されている。
医学 特集 ペプチドの世界 体内で作られる「端切れ」 断片ペプチドに生理活性 体内で作られるペプチドはさまざまな生理活性を持つことが知られているが、産生過程で発生する99.9%以上もの「端切れ」の断片ペプチドは生理的に機能しないとされてきた。しかし近年、自然免疫系の中心的役割を担う好中球を活性させる断片ペプチド「クリプタイド」が発見された。その後も、細胞増殖や創傷治癒など、さまざまな機能を備えたクリプタイドが報告されているという。画期的な治療薬の可能性が期待される。
医学 特集 ペプチドの世界 〈巻頭インタビュー〉ホルモン作用に限らない多様性が注目されている 食品や化粧品などの表示でよく目にするペプチドとはいったい何か——。実は、このようなペプチドの他に、身体の中には、アミノ酸から合成されたタンパク質が分解されて生成されるペプチドが存在する。こうした多様なペプチドはさまざまなホルモン作用を持ち、強い生理活性を示す。また体内にある分子であることから、化学合成医薬品に比べると毒性は低く、創薬の分野では以前から注目されている物質なのだ。