社会 特集 科学は伝わるか リスクコミュニケーションは科学者と市民の「対話」 本来、科学が本当に安全なのかという命題の検証には相当な時間がかかるものだが、現代社会は、その結論を待たずに科学を組み込むことで多大な恩恵を受けている。そのため、何かが起きたとき、科学者だけに正解を求めることはできない。つまり今の時代、最終的な決定権限は社会にあるわけで、その社会が納得するには、科学の使い方を「専門家」に任せるだけでなく、社会全体で十分に議論することが必要なのだという。
社会 特集 科学は伝わるか なぜ理論的なリスク評価は心に響かないのか 得体の知れないリスクに対し直感的に不安や恐怖を感じるのは当然で、理論的な説明がなかなか伝わらないのは仕方のないことかもしれない。科学的に正しい知識や情報を提供すれば十分に認識してくれるはず、と考えてきた専門家のリスク評価と、一般的なリスク認知に乖離があることが一因だ。こうした現状を踏まえたうえで、送り手と受け手の相互信頼に基づいた、リスクコミュニケーションが必要になってくる。
社会 特集 科学は伝わるか〈巻頭インタビュー〉「福島原発事故」から学んだ最も大切なものは信頼関係 社会が科学をどのように受け入れるかは、今や大きなテーマとなっている。「福島第一原発事故」は、一つの大きな契機となったと言える。研究者は、住民に何をどう伝えればよいのか、全くの手探り状態だった。事故から10年、放射線健康リスク管理アドバイザーとしてリスクコミュニケーションに尽力した神谷研二広島大学副学長/福島県立医科大学副学長に、改めて社会と科学のありようを語っていただいた。