医学 「細胞と遺伝子」 第10回 中和抗体とともに産生される感染増強抗体 ワクチンや感染で中和抗体は作られるが、同時に、ウイルスと細胞の結合を促進させ、中和抗体の働きを弱めて感染を増強させる抗体も作られていることが、新型コロナウイルスの研究で明らかになった。ワクチンはかえって重症化させるのではと不安になるが、一定数以上の中和抗体があれば感染増強抗体は作用しないので、心配無用という。中和抗体と感染増強抗体がどう作用し合うのか——今後の研究が注目されている。
医学 特集 ワクチンの軌跡 感染症の「リスク」と接種後の「事象」 ワクチンは多くの感染症から人類を救う強力な武器だ。しかし日本では、ワクチンに対する抵抗感が今もって根強く、例えば子宮頸がんによって年間2800人以上の女性が亡くなっている。どんな薬にも副作用があるように、副反応のないワクチンは存在しない。接種後に起こり得る「事象」すべてが副反応とも限らない。そのことをきちんと認識し、感染したときのリスクを考慮したうえでの、適切な判断が求められる。
医学 特集 ワクチンの軌跡 COVID-19ワクチン実用化で加速するmRNA医薬の開発 感染症の切り札とされるワクチンは、開発から供給まで15年以上はかかるといわれてきたが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンは1年ほどで実用化に至った。これは全く新しいタイプのワクチンによるもので、mRNA医薬の成果だ。さらにmRNA医薬の治療領域は感染症だけにはとどまらず、がんワクチンや抗体医薬をはじめ、多岐にわたる。mRNAワクチンの登場で、mRNA医薬の研究開発が加速する。
医学 特集 ワクチンの軌跡より迅速で最適な接種へ! 進化するワクチンの近未来 現在は新しいタイプのワクチンが登場し、従来と比較すると格段のスピードで予防接種が進んでいる。しかし、新たなパンデミックやバイオテロを考慮すると、さらなる即応性は不可欠だろう。核酸のプラットフォームを基盤としたモックアップワクチンをあらかじめつくっておけば、病原体に応じて抗原などをモジュール化して組み込むことで、最適なワクチンを迅速に生産できるという。
医学 特集 ワクチンの軌跡〈巻頭インタビュー〉対感染症の強力な武器 —— ワクチンは人類を救う 天然痘やポリオなど、命に関わる恐ろしい病気から人々を救ってきたワクチンは、人類が感染症に打ち勝つためにつくった武器であり、社会全体の免疫を強固なものにする、最も強力な医療の一つと言っていい。そして、その可能性は感染症にとどまらない。現在、がん細胞を排除するがんワクチン、血圧を下げるワクチンなど、生活習慣病を対象とした開発研究が行われているという。
医学 特集 新型コロナウイルスの現実 各国で開発競争激化! 「ワクチン」の可能性 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が続いている。ソーシャルディスタンスやマスクの着用など基本的な予防対策の徹底は言うまでもないが、一方、決め手とされるワクチンの開発・製造は、大学研究機関・製薬会社・バイオベンチャーなどがタッグを組んで、前例のないスピードで進められている。実用化への具体的なプランも聞こえてくる。開発現場の今をお伝えする。