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ヘルシスト 295号

2026年1月10日発行
隔月刊


長生きの秘訣は、コツコツ生きる。仕事する。無欲であること

今でこそ、100歳を超えて活躍する人のニュースにもさほど驚かなくなりましたが、今から30年ほど前、の岡本(1895〜1996年)が「百歳現役」でいくつもの公演を行ったことは、大いに注目を集めました。

新内節は、三味線を伴奏に太夫と呼ばれる演者が節をつけて物語を語る、江戸から昭和にかけてった浄瑠璃の一種ですが、流しと称して町中で演奏することもあるのが特徴で、主に庶民に親しまれました。

文弥は子どもの頃から、師匠であった母に習い、やがて岡本派を再興して五代目を名乗りますが、芸域は広く、古典を大事にする一方で、古典芸能であっても時代や自分と向き合うものでなければと、250曲余りの新作を発表したことが知られています。市井の人々の思いに寄り添った文学作品や伝記、時代ものからの創作、また邪道といわれながら、これに関する後悔はまったくないと言い切る反戦ものの「西部戦線異状なし」や「ノーモア・ヒロシマ(人間を返せ)」、「ぶんやアリラン」など、心に染み入る作品から名匠といわれ、加えて多くのエッセイや、「新内舞踊」の確立、70代で「曲芸」に魅せられて始まった中国との文化交流など、ジャンルや枠を超えた幅広い活動も人々の心を捉えました。

長生きのを問われると、文弥は「コツコツ生きる。仕事する。無欲であること」と答えています。101歳のときに出版された『ぶんやかたりぐさ』には、それを裏付けるように、100歳になろうとする文弥が、門人の稽古から連載の執筆、来客や電話への応対、ファンの手紙への返事まで、日々の仕事を夫人と手分けしながら淡々とこなす様子が紹介されていて、心に残りました。

明治、大正、昭和、平成の4つの時代を生き、大震災や戦争を知る文弥の言葉は、日常を丁寧に、心穏やかに暮らす大切さを伝えています。


細胞内には核、ミトコンドリア、リポソーム、リソソーム、滑面小胞体、ゴルジ体、中心体という、それぞれ特有の役割を持つ細胞小器官が存在します。今号ではその中の一つ、ミトコンドリアについて特集しています。

「細胞の中の発電所」とも呼ばれるミトコンドリアは、栄養と酸素を利用して体のほぼすべての活動に必要なエネルギーであるアデノシン三リン酸(ATP)を大量に産生し、また、アミノ酸代謝、脂質代謝、鉄硫黄クラスター産生など多様な生化学反応の場にもなっています。ミトコンドリアは単なる細胞小器官ではなく、生命そのものを維持する不可欠なシステムにほかならないのです。

一方、細胞が損傷を受けたり不要になったりした場合、放出されるある種のタンパク質によって発現するアポトーシス(プログラムされた細胞死)の制御においても、ミトコンドリアは中心的な役割を果たしていることが分かってきました。アポトーシスは不要な細胞の除去や損傷した細胞の排除、免疫系の調節などに不可欠なプロセスで、その機能制御の異常はがんや神経変性疾患などと深く関連することから、ミトコンドリアの機能の中でも極めて重要な作用の一つと認識されるようになったのです。

正常に作用している状態であれば、ミトコンドリアとオートファジーは協調して細胞の「品質管理」を行いますが、年齢を重ねるにつれてミトコンドリアのATP産生量が減少してくると、細胞はエネルギー不足となってオートファジーが機能不全に陥ります。そうなるとタンパク質や細胞小器官などの「ゴミ」がたまり、オートファジーの機能がさらに低下して細胞全体の「品質管理」システムが崩壊します。その結果、神経変性疾患や筋肉の萎縮など、加齢が主な要因とされる病気が発症すると考えられているのです。

一方、適度な運動や適正な体重管理はミトコンドリアとオートファジーの機能を活性化させることが知られていて、ミトコンドリアを健康に保つことがアンチエイジングの一つの鍵となるのは確かなようです。

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