気になる人の「気にする食卓」第93回 宮下純一

構成/編集部  写真/細田 忠

HEALTHIST INTERVIEW

宮下純一 (みやした・じゅんいち)

(スポーツキャスター・元競泳選手)

1983年10月17日生まれ。鹿児島市出身。5歳から水泳を始め、9歳のときにコーチの勧めで背泳ぎの選手となる。2008年の北京オリンピック競泳男子400mメドレーリレーで、第1泳者として銅メダル獲得に貢献。現役引退後は、スポーツで活躍するアスリートの心のドラマやストーリーを伝えるスポーツキャスターとして幅広く活動中。

子どもと一緒に料理をして
栄養摂取の大切さを伝えます

2008年の北京オリンピック競泳男子400mメドレーリレーで銅メダルを獲得した宮下純一さんが、水泳を始めたきっかけは水嫌いを克服するためであった。そこから、日本を代表する競泳選手にまで成長するが、食に対してストイックになるのではなく、結果を出して自分の好きな物を食べるため一生懸命に練習に取り組んできたという。

宮下純一さんにまずは、幼少期の食生活の思い出と水泳を始めたきっかけを伺った。

小さい頃から栄養バランスを考えた食事が食卓に並んでおり、両親からは出されたものはすべて食べなさいと言われていました。僕は、口の中で嚙んだ瞬間、青臭いものがぶわっと出てくるミニトマトが苦手だったのですが、好き嫌いは許されないため味噌汁で無理矢理流し込んだりしていました。食べられないわけではないのですが、今でもミニトマトは苦手です(笑)。

幼少期の僕は、顔に水がかかっただけで大泣きするくらい水が苦手で、幼稚園のプールでは水着になることも拒否していました。それを克服するため両親がスイミングスクールへ通わせたのですが、大暴れで連れて行くのも大変だったそうです。でも、週4日も通っていたのであっという間に水に慣れたそうです。

水嫌いを克服するため通い出したスイミングスクールで、泳ぎも上達して全国大会に出場するほどになる。

5歳でスイミングスクールへ通い始めて、10歳のときには背泳ぎで全国大会で入賞するほどに上達しました。高校時代までスイミングスクールへ通い、陸上で約1時間トレーニングをした後に、約2時間泳ぐというのがルーティーンでした。1日、4000〜5000mくらい泳いでいましたが、強豪校と比較すると半分くらいの練習量でした。成長期ということもあり当時の食生活は、自宅で朝食、2時限目後の休み時間に弁当、昼食は学食、放課後スイミングスクールへ行く前に夕食、そして帰宅後に夜食と5食でしたね。

大学進学後、自炊を開始するため、母から料理の基礎をしっかりと学んだ。

筑波大学への進学が決まり、自炊生活を開始するために、母が米のとぎ方、味噌汁の作り方、野菜や肉の切り方など料理の特訓をしてくれました。そのおかげで、食事で苦労したことはないですね。日本代表の合宿の食堂は、バイキング方式で摂取カロリーが画面表示され、自分に足りていないものが分かるので、それをメモして普段の食生活に生かしていました。大会で結果を出すために徹底的に食事を制限する選手もいましたが、僕は食事と競技をなるべく切り離して考えていました。毎日、練習に明け暮れていたので、楽しみといえば食事くらいしかなかったのです。だから、今日はこれを食べるために練習を頑張る、という感じでしたが、栄養バランスにだけは気をつけていました。

〈左〉ある日の夕食は、チーズ春巻き、熱々に熱したごま油にタコと三つ葉を入れてポン酢であえた料理、煮麺(にゅうめん)にネギ・豚・なめこを合わせたもの。〈右〉娘のリクエストで作った青椒肉絲と鶏の唐揚げ。時々、前日に子どもから「これが食べたい」というリクエストでメニューを決めるという。(写真提供:宮下純一)

最近炒め料理の手伝いもしてくれる娘が、無水トマトジュースキーマカレーの合い挽き肉を炒める。(写真提供:宮下純一)

体への負担が少ないプールの魅力

2008年の北京オリンピック競泳男子400mメドレーリレーで銅メダルを獲得して現役を引退し、生活スタイルが激変したことで体重は増加したという。

現役引退後、水泳中心の生活から卒業したのに、食事の量は変わらなかったため、体重は一気に増えましたね。それで「まずい」と思って、自宅の近所を走るようになりました。水泳は現役時代のように自分を追い込むことができず、楽に泳ぐ方法も知っているのでダイエット効果がないのです(笑)。陸上のほうが、今日は10㎞を何分で走ったから、明日は1分縮めてみようと目標を立てて取り組むことができています。

2022年には、日本食育HEDカレッジ主催の食育防災アドバイザー資格認定講座を受講した。

日本は地震も多いので、いざというときに役立つと思い食育防災アドバイザー資格認定講座を受講しました。食育から食品衛生や災害、自宅における備蓄などを考える良い機会になりました。また、防災食を試食したことで、味の大切さも痛感しました。

最後に宮下さんから、読者に向けて食と健康に関するアドバイスを伺った。

僕は食べることだけでなく、作ることも好きなので、子どもと一緒に料理をしながら、これを食べるとどう体に良いのかを教えたりすることで、子どもの好き嫌いも克服されると考えています。また、健康維持のための運動は、年齢とともに体への負担が大きくなっていくので、浮力が働くことで負担が軽減されるプールでのウォーキングをオススメしたいと思います。水の魅力を多くの人にもっと知ってほしいですね。

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ヘルシスト 293号

2025年9月10日発行
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